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iPad miniと不純な動機で作られる製品

新しいiPad miniが発表されました。

外観はそのまま、中身を刷新してリーズナブルな価格で提供とのこと。3年半ぶりのアップデートに買い替えやすい価格ということで、歓迎する声は多いです。

japanese.engadget.com

僕はというと、この記事と写真を見ながら「不純な動機で作られる製品」ってあるよね。なんてことを考えてました。

不純な動機で作られる製品

旬を外れて安くなった各種デバイス、金型寿命を終える前に販売が低調になってきた筐体。時折そんなものに出くわすことがあります。

そんなときに「安い部品を組み合わせて、安く新製品を出そう」というモチベーションが企画部隊に湧いてきます。これが不純な動機で作られる製品です。

何が不純なのか?

僕が思う製品企画の王道は「ユーザーはこういうのを欲してるはず!」というユーザー目線の企画です。純粋ですね。

反対に、「安い部品があるから作ろう」というのは始まりに作り手側の都合があります。付け足したように「安くすればユーザーも喜ぶし」とユーザーへのメリットを挙げるわけですが、やはり作り手の都合有りきなんですよね。だから不純に感じるわけです。

アップルは高級ブランドじゃなかった!

今回の件で、僕はアップルに親近感がわきました。不純な動機で作られる製品って、メーカーって感じで僕は好きです。

昨年流行った「the four GAFA 四騎士が創り変えた世界」ってありますよね?あの書によるとアップルは高級ブランドなんですよ。
確かにアップル製品のマーケティングは高級志向でセクシーさ、ラグジュアリーさにうったえています。iPhoneもどんどん高くなって、二桁万円が当たり前の世界です。

あぁ、アップルはもうメーカーじゃないんだな…と思ってたところに今回のiPad miniです。

狭額縁で画面占有率を争う昨今のトレンドを無視したディスプレイ。
当初予想より売れてないと噂のiPhone Xsに入っているA12チップ。
対応するApple Pencilは旧式のタイプ。
変わらぬ見栄え。

ほら、なんとなく不純な動機で作られたように見えてきます。

服の高級ブランドは売れ残りは燃やしてブランド維持に努めると聞きました。アップルが本当に高級ブランドたらんとするなら、今回のようなお手頃でコスパを重視したようなモデルって出てこなかったんじゃないかと思うんですよね。

iPad mini 3のダイヤカットのカッター痕

仕事終わり、読書灯の下で開くは、ビンゴの景品でもらったiPad mini3。

Kindle用端末として使っているmini3に「お前に弟ができるよ」なんて語りかけていると、ふとダイヤカットの反射に違和感を覚えました。

iPad mini3ダイヤカット

お、見ると細かいウロコが見えます。

iPad mini3カッター痕

拡大するとくっきり。

iPad mini3のベゼルはダイヤカットと呼ばれる切削が入ってます。このカットがキラッとして高級感を演出するわけですが、カッターの送り速度が早かったり部品の固定がしっかりしていないと、刃や製品が振動して、こういう痕ができてしまいます。*1この頃のアップル製品は7000番とかの硬いアルミは使ってなかったと思うので、もうちょいきれいにできたのではないでしょうか。

アップルともあろう会社が、僕のような一般人が気づく程度の作り込みをしてるなんて…

そこでふと気づいたのは、そもそもこのiPad mini3も結構お手頃な価格で出されてた製品なんですよね。だからこそ、この作り込みなのかもしれません。

iPad miniというシリーズそのものが、不純な動機で作られたのでは。

そんな事に思いを馳せる今日このごろです。

こんな記事も書いています。

temcee.hatenablog.com

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TG-3、ほんと接写強くていいですねー

*1:ちなみにカッターの送りが早いと部品コストは安くなります