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シートやテープの抜型3種(ビク型、彫刻型、ピナクル型)の説明

(4/21 スーパーカッターの項に追記)

シートや両面テープは、機器の設計でよく使われるものの、射出成形やプレスによる部品に比べて重要度は落ちます。

自然、設計者が製造現場に立ち会って確認する機会は少なめです。

今回はそんな抜き型について、簡単に説明していきます。

ビク型(トムソン型)

ベース材のベニヤ板にレーザーで溝を彫り、溝に沿って刃を埋め込んだ型です。地域によってビク型だったりトムソン型だったりしますが、同じものを指します。

この型の利点は手軽さです。加工に日数がかからず、それ故に安い。なので試作型としてよく用いられます。また、急に部材追加となった時に急ぎ起工し納めて貰う、なんてことでもお世話になってます。

一方、ほかの抜型に比べて精度で劣りますし、小さな角Rや複雑な形状も苦手です。また刃の継ぎ目が出来てしまうことも認識しておきましょう。

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ピナクル型

化学的な処理、エッチングで作られる型です。

ロータリー加工機に取り付ける事ができ、輪転式でシートを抜くことが出来ます。精度が高く複雑な形状も対応でき、高速に加工が可能なので、量産品によく用いています。

難点は工期がかかり、費用も高いこと。また刃の耐久性も低めです。

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NC彫刻型

機械加工で金属の塊から削り出す型です。一般的な金型のイメージに近い抜型ですね。

機械加工なので精度よく複雑な形状にも対応、さらに型の強度も高いです。

こちらもピナクル同様、型の費用が高いのが難点です。

【おまけ】スーパーカッター

型ではないですが、安く作れますよということでご紹介。

四角形の、いわゆる短冊形の形状ならスーパーカッターが早くて安いです。
なので、シートの設計を行う時は短冊で作れないかを考えます。自分は昔そのことを知らず、いつもの癖で角Rをつけて出図して無駄に型を起こし、えらく怒られたことがあります。(出図前に誰か教えてほしかった。。)

(4/21追記)
この動画で使われているものは、製造現場だとスーパーカッターではなく、テーブル機と呼ばれているようです。
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現場でスーパーカッターというと、ローラーで送られる次の原理のカッターを指すそうです。
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まとめ

シートの抜型について軽く説明しました。

あくまで現場から遠い設計者のイメージになりますが、まとめると下記です。

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実は自分はあんまり彫刻型の経験がなく、実際の型も見たことがなかったりします。なのでピナクルと彫刻型の使い分けについては明るくなく、詳しい人がいましたら逆に聞いてみたいですね。量産数量でロータリーで製造できるピナクル、強度が必要な硬い物、厚い物は彫刻型、みたいな感じで使い分けるんですかね。

抜型は、作り方を意識すると分かるんですが、いわゆるプレスや射出成形の型と違って、あることが出来ません。

分かりますかね?

そう、型改造が出来ないんです。形状が変わると作り変えになります。

比較的安いとはいえ、それでも型費はなかなかのものです。特にピナクルと彫刻型。
なので、シートを出図するときは一撃で決めきる覚悟で設計しましょう。製技の人も、 形状変えると作り変えになると意識して、しっかり事前に貼り付け工程の検証をしましょう。

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