ポロンやPETシートと両面テープを貼り合わせて打ち抜いたような、シート状の貼り付け部品は、総じて貼り物と呼ばれます。
貼りものは形状が2次元的なのでモデリングも製図も簡単、なのですが、図面を描くときに落とし穴があります。
それは表裏を間違えて解釈される、ということです。実際に僕も間違えて作られてしまった経験があります。
方向が分からないなら聞いてくれ、と言いたくなるものですが、そもそも分かりにくい図面を描く方がよろしくないのも確かです。
今日は貼り物の層構成を間違えられないために、自分がどんな図面の描き方してるか紹介します。
時間がないとき省力用
簡易的な描き方です。何度かやり取りしたことがある、慣れた相手にしか出さない図面です。何が問題でしょうか?
この描き方でも、PET面と粘着面がどちらなのか、というのはわかります。
ただし、両面テープの形状がPETと同じ形状であることが暗黙の了解となっているんですよね。そのあたりを理解して作ってくれるメーカーならこの図面でもいいですが、あまり良い描き方ではないかなと思います。
それでも貼り物を追加するときは切羽詰まってる事が多いので、こういう図面もちょくちょく描いてしまうんですよね。
通常の描き方
普通に図面を描くだけの工数がある場合は、両方の面視を描きます。
PETと両面テープの形状は、貼り合わせたあとで一緒に抜いてしまうのが一番シンプルな作り方です。 ただし、お互い別に抜いたあとで貼り合わせたり、ハーフカットをいれたりすることで、一部両面テープが抜かれたような貼り物とすることも可能です。
そういうときは、(a)のような図面だと分からないので、きちんと両方の面視を描く必要があるのです。
台紙やセパレータ形状に指定があり、層構成が複雑なとき
部品本体に触れずに貼り付けたいときに取っ手をつけた微粘着性シートを載せたり、台紙の剥離性を改善する目的で図面に台紙の形状を指定したりすると、より詳細な層構成が必要になってきます。 他にも、高さ調整のため厚みの異なる複数のクッションを貼り合わせた「ミルフィーユポロン」なんてものの図面も、必要なら描くことがあるでしょう。
そんなときには、部品図の面視に見えている材料を描くだけでなく、きちんと層構成を記してあげるのが親切かと思います。
特にセパレータや台紙(剥離紙)はメーカーによって呼称がまちまちで、層構成がないとごっちゃになりあべこべで理解されることがあります。
まとめ
貼り物図面の描き方、について描いてみました。
自分は貼り物については日本メーカーとの付き合いが長く、あやふやな図面でもきっちりフォローいただいて甘やかされていたので、油断すると(a)のような省力図面を書いてしまいがちです。
表裏が分かりにくい図面は、作り手が間違ったときに揉めやすいし、そもそも間違えて作られて日程に響けば、修正費用を作り手が負担したとしても時間が無駄に消費されます。
貼り物に限らずですが、わかりやすい図面を描くことを心がけたいものです。
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