WICの中から

機構設計者が株式投資や育児に奮闘するblog

【CAD】スケッチはシンプルに描く、できれば完全拘束する

3D CADにおいて、スケッチは検討だけでなくモデリングにも使われます。3D CADのモデルは3Dですが、作る過程では2Dたるスケッチを弄っている時間のほうが多いのでは無いでしょうか。

そんな大切なスケッチですが、雑に描かれて放置されているものを時折見かけます。

いや、わかりますよ。時間がなくて欲しい形状だけ描ければいい!とか、不確定要素が多いからザックリ描いておこう!とか。ありますよね。そんな時にやってしまいがちな間に合わせスケッチテクニックと、その末路について語っていきます。

速度重視のがむしゃらオフセット

スケッチで寸法を入れる時は、図面を描くことを意識して描きますよね。部品もしくは装置全体の基準から寸法を追ったり、関連が濃い形状から寸法を追うこともあるでしょう。

ただ急いでる時は「関連する形状の寸法を測定する→スケッチの寸法を入れる」が、煩わしいのです。後のことを考えずにそこかしこから参照をとり、そこからオフセットでスケッチしてしまう、と。

色んなところから参照を取ったスケッチは、変更に弱いです。エッジが動く、消えるなどしてスケッチが破壊。このスケッチは何を描いてたものだったのか?こうなると、単に線を書き直すだけでなく、検討からやり直すことも。そして、壊れたスケッチを参照しているスケッチも連鎖的に壊れ…。

他の部品から参照を取っていた場合、お互いがお互いを参照する、いわゆる循環参照になってしまうことも。こうなると参照を切らないとまともにモデリングできなくなります。悪夢、悲劇…。そうでなくても、参照を取りすぎるとデータが重くなり、CADの動作も不安定になります。

不必要な拘束は放置だ

形状をザックリ切ったりする時、必要な箇所だけ寸法を入れて、他は駆動寸法のまま…。

描いた当初はいいのですが、時が経ったあとに見返してみたり、他の人が引き継いだ時に、完全拘束されていないスケッチがあると迷います。「このスケッチ、きちんと描き終えてたものなのか?」そして、無駄に考えることになります。

個人的には、スケッチの完全拘束は設計し終わった、書き終わったことを示すことだと思います。必要ない寸法は、大げさな寸法を入れておくことで「ここの寸法は重要でない」と意思表示することが出来ます。意思表示をはっきりさせることで、後の工数を減らすことができます。余計な仕事を増やさないためにも、スケッチは完全拘束しておいた方が良いのではないでしょうか。

いらなくなったスケッチ…また使うかも。抑制!

まず使いません。

複数パターン検討していて、1案に絞ったあと、検討用のスケッチを何となく残す人、いますよね。だいたいあとになって、何なのか忘れてしまいます。別名保存で残すか、資料にコアな個所だけ残して、本番の部品からは不必要なスケッチは削除しておいたほうがいいでしょう。

抑制・非表示でひとまず目につかないようにすると、どうなるでしょう?

履歴を全再生したときにエラーを吐いて、修正に追われる羽目になるでしょう。いらないモノは切りましょう。

まとめ

スケッチを雑に扱ってしまうパターンと、その弊害を書いてみました。

スケッチ、自分は単純形状をたくさん描くのが良いと思うんですよね。そうすると壊れにくいし、寸法の変更も容易です。動かしたいところをダブルクリックしてちょいちょいできますからね。シンプルな形状ほど優れた設計なのと同じく、シンプルなスケッチほど変更に強く分かりやすい優れたスケッチです。

あと上にも描きましたが、完全拘束。
不完全な状態のスケッチが残ってると設計がきちんと完了しているか不安になる人間もいるので、できればやっておいたほうが良いです。ザックリ寸法を入れるだけなら2-3秒で出来ます。

仕事全般に言えますが、中途半端な状態で放置しておくと後に無駄な問題が起きます。きちんと終わらせる、終わったことが自他ともに完全に分かるようにする。コレ大事です。

こんな記事も書いています。

temcee.hatenablog.com

temcee.hatenablog.com