WICの中から

機構設計者が株式投資や育児に奮闘するblog

【書評】WHO YOU ARE 過去の偉人に学ぶ文化の大切さと言行一致の難しさ

トップがいないところで、社員は何を元に意思決定をするのか?

ルールのように明文化されていない、しかし空気のように身近に確かに存在する、それが企業文化だ。

Appleのデザイン第一主義の文化は世に新たな価値を想像し続けてきたし、Amazonの倹約主義は世界中でリーズナブルな商品・サービスを提供することを可能にした。

一方、舵取りを誤ると、ウーバーのように不祥事に繋がる意思決定を行う文化にも育ちうる。

それほどに企業文化は強力で、世界を動かす力がある。

本著ではそんな企業文化を強くするため、下記の歴史的な偉業を成した偉人を取り上げ、彼らがどのように文化を捉え、作り上げてきたかを読み解いている。

  • トゥーサン・ルーベルチュール:人類で唯一奴隷革命を成し遂げた
  • 武士(武士道):700年にわたり日本を治める
  • シャカ・サンゴール:殺人罪で刑務所入りし、内部のギャングを統率した
  • チンギス・ハン:世界最大の帝国を築き上げた

本著の魅力は、企業文化の話を直近の有力企業から読み取るではなく、もっとダイナミックに歴史から学んでいる点だ。それぞれが困難な目標を持っており、それを成すための文化をどのように作り上げてきたのか。一見企業活動とは関係なさそうな事案の中から、企業文化を築くエッセンスを取り出した本著は、その視点のユニークさと確かな説得力を有している。一言でいうと、良著だ。

強い企業文化を作る話は主にスタートアップや、リーダー層に向けた内容にはなるだろう。 一方、多くの人に役立つ内容もある。

部下、後輩、子供、、、いかなる人でも導くべき存在が、いつかは現れるだろう。そんな時、チームや家庭内で自分が成し遂げたいことは?どんなチーム、家庭にしていきたいのか?そのヒントも、偉業を成し遂げた文化から得られるはずだ。

文化形成について多くを語ってある本著の中で、僕がひときわ印象に残ったのが、文化は発した言葉ではなく行動によって育つという点だ。

「効率よく働いてダラダラ残業するのはやめよう」というトップが業務時間外に頻繁に連絡を寄越すようでは、誰だって定時を守ることは無い。 何が大切かを曖昧にせず、きっちり行動で示すことが重要なのだ。これは、あらゆる章で頻繁に目にする内容でもある。

理念を行動で示すにも困難が伴う。言うは易く行うは難しというが、言行一致は大変だ。これは僕も実感していることだし、恐らくこの文章を読んでいる皆さんにも思い当たる事が多々あると思う。*1

そんな時、どう行動すべきか。どんな文化を目指していくべきで、どんな自分であるべきなのか。

本著を読んで、過去の偉人たちが何を考え・行動を学んだら、あとは「Who you are」。あなた自身は何者なのかを深く考える必要性を、あらためて覚えることだろう。

こんな記事も書いています。

temcee.hatenablog.com

temcee.hatenablog.com

*1:僕について言えば、きちんと論理だてて設計を行うという理念に対し、過密スケジュールと工数不足でCADお絵かきを混ぜた設計をしないと日程が破綻する。という状況で悩うことが多々ある。