「銃・病原菌・鉄」の下巻を読み始めました。その中で登場する「ファイストスの円盤」って遺物がロマンの塊すぎて、強烈に印象に残ったんですよ。
上巻ではヨーロッパが世界を制覇した要因である「銃・病原菌・鉄」がアメリカ大陸では何故発達しなかったか?文明の進歩にムラが出来たのは何故か?を掘り下げました。
下巻の頭の方では、文字の発明と発展について言及されています。文字を持つことで人々は記憶を保存したり、複雑な商取引が可能になったりするわけですが、文字を持つ文化・持たない文化に分かれたのは何故か?って話が続きます。その話の中で、ファイストスの円盤のエピソードが語られます。
ファイストスの円盤とは
ファイストスの円盤、ギリシャはクレタ島で見つかった、粘土で作られた円盤です。
紀元前1600年頃のものとされるこの円盤が特異なのは、文字が正確に同じ形をしているところなんですよね。版のようなものを粘土に押し付けて作られた文字ってことを意味します。この発想は、2400年後に登場する活版印刷と同じアイデアなわけです。
ロマン
今なお使われている活版印刷というメジャーな技術を、発明の2400年も前に思いつき制作した人物がいる。それだけでも十分にロマンなのに、この円盤にはまだ謎が秘められています。
それは、この円盤に書かれている文字が未だ解読されていないことです。
円盤が見つかったクレタ島には既に文字が存在していましたが、ギリシャ語の音節の数と円盤の文字の種類が合わず、別の文化圏のものだと考えられています。さらに、同じ文字を使っている遺物が発見されていません。これらの要素が解読を困難なものとしており、ファイストスの円盤がどこから来たのか、何について語られた物なのかが、謎のまま残っています。
地球上のすべてを踏破して宇宙へ飛び出そうとするこの時代にあって、まだまだ歴史には解かれていない、解ける見込みのない謎があるという事実は、なんだかワクワクさせられるものです。
教訓
ファイストスの円盤は、型を使うことで正確な大量生産を可能にする、という活版印刷に通ずる優れたアイデアで作られています。それでも、活版印刷が開発されるまで、ここから2400年の年月が費やされました。その理由は何故でしょう。
本では、その理由として周辺技術…紙やインク、ゴム…といった、他の技術が未発達だったことが理由の1つとして挙げられています。誰も、重い粘土の円盤を持ち歩いたりしないものです。
ここから学べるのは、新規性と有用性があっても、実用性が無ければ偉大な発明にならないこと。周辺の技術が結びつくことで、実用性に繋がっていくこと。あとは、どんな技術が偉大なものに化けるか分からないこと。
そう考えると、何らか有用なものを開発しようとすると数を打つことが重要ですし、広い分野を知っていることも武器になります。このあたりの考え方は、今の日本に必要なものかもしれませんね。
まとめ
ファイストスの円盤、ちょっとしたエピソードだったのですが、ツボにはまりました。
こういった知らない知識を得られるのが読書の良い点ですね。自分が明るくない分野の本でも、興味のあるものは結構見つかるものです。特に歴史が絡むものはロマンがあっていいですね。
歴史的なものに触れるとCivに手を伸ばしたくなりますが…我慢です。でも、久々にCivをプレイしてみたいものです。