WICの中から

機構設計者が株式投資や育児に奮闘するblog

名古屋旅行記 Part1 トヨタ産業技術記念館

家族で名古屋旅行に行ってきました。

メインの目的はレゴランドホテルの宿泊、サブの目的はレゴランド、とレゴ尽くめの旅程でしたが、子にハードウェアエンジニアリングたるものを伝授したい僕のエゴもあり、トヨタ産業技術記念館に寄ることにしました。

僕個人としては名古屋の旅で最も印象深く満足度が高い、濃密な時間を過ごせました。

トヨタ産業技術記念館

名古屋駅からタクシーに乗って数分、なかなかアクセスの良いところにトヨタ産業技術記念館はあります。

最初は名鉄に1駅乗ろうとしたのですが新幹線口から名鉄までが結構距離あるんですよね。人も多いし、季節的に外を歩くのもつらいしで、タクシー安定です。

大人500円、小学生は期間限定無料と太っ腹なチケットを購入し展示へ進みます。

トヨタの始まりである織機が広大なフロアに整理整頓清潔清掃された状態で陳列されています。

時代と共に織機が進化していく様子を体感しつつ、いくつかは電動化されて実際に動く様子も見られます。子ははしゃいで色々なボタンを押して回ってました。

織機コーナーを抜けると製造実演コーナーへ。

時間を気にせず行ってしまったので何の実演もやってない、、と思いきや、突如現れたおじさんが颯爽と鍛造工程を実演してくれました。鉄の棒を1000度以上に熱して鍛造の型の中に移し、あっという間に部品へと変わっていきます。

鍛造部品、検討したことはあれど実用したことなかったので初めて工程見ました。刀鍛冶が刀を打つが如くもっと何工程も経て次第に形になっていくのを想像していたのですが、抜き工程含め3工程で立派に形になるのですね。ワークの熱を下げないよう、金型もそれなりの温度だったりするのでしょうか。興味は尽きません。名古屋旅行で最も興奮した瞬間ですね。

先に進むとロボットたちが出迎えてくれます。ここのロボットは動かないですが、別の場所ではバイオリンを演奏してくれるロボットがいました。

ここから先は自動車作りのエリアです。

国産車を作る!と熱い魂のこもった、ベンチャーチックな展示が始まります。

材料の物性を調べる試験機も色々ありました。下記はみんなお世話になってるビッカース硬さ、ロックウェル硬さの試験機です。引っ張りや曲げを調べられる万能試験機もありました。数値はお世話になるし試験方法ももちろん知ってるんですが、引張試験機以外は普通の人生送ってるとなかなか見る機会が無いのですよね。激レアです。

ありがたいお言葉集。最近はCAEだ、物を作らないモノづくりだなんて言われます。が、ひたすらに手を動かして作ってみて壊して解析してまた作る、を繰り返せるところこそ強い実感はありますね。

更に先に進むと近代的な車の製造展示が現れます。

車、当たり前なのですが板金をつなぎ合わせている関係で、端部の方はしわが寄ってるんですね。外観面はそんなことを感じさせない流麗さで、非外観面で3次元的な凹凸のしわ寄せを完結させる。それでいて各外観部品同士は組み合わせた時にずれなく形状が合うよう組む。製造も設計も大変そうだなぁ。

最近はEVだコストダウンのためダイカストだなんて言われているようですが、自分みたいな小物の設計だとダイカストからプレス品への切り替えがコストダウンの手法だったりします。で、板金を使うとシワだったりマッチングだったりがどうしても出てくるわけで、その処理に苦慮するわけで。車のプレス技術は本当にすごくて、見ているだけで勉強させてもらった気分になります。

カットモデル、良い。

衝突試験したサンプル車。運転席まではつぶれず、フロントガラスも角割れしてるのが走ってるだけですね。

600tプレス。でかい!こんなのが近くにあると、CNCとかビビリそうですね。これだけ力をかけられる金型とかどのくらい打てるんでしょう。

自動組み立てと自動溶接機!ここらの自動機も、異常があったらきちんと止まるようになっているのでしょうか。自動機で組む場合って、部品同士で位置決め付けたりはせず、ロボットアームを教示して座標で位置を決めてるんですかね。溶接の強度バラつきはどう抑えているのでしょうか。検査頻度は?興味は尽きません。

金型を彫っているの図。

最後は成形体験。車のストラップ部品をその場で射出成型してくれます。親切にゲートカット済みです。

まとめ

トヨタ産業技術記念館、これは良いものです。時間の都合上あまりゆっくり回れなかったし、テクノランドに行けなかったのも心残りです。また訪れたいものです。

展示自体の魅力、魅せ方が優れているのもあるのですが、人が多く無くて快適なのも良い点です。決して煽りではなく。首都圏でこのレベルの展示があったなら、滅茶苦茶混んで見学どころではなくなりそうです。

技術においてハードウェアが占める重要度は相対的に落ちてきてる世の中ではありますが、ハードウェアの絶対的な重要度は今後も変わらず在り続けるでしょうし、ソフトとハードの融合こそ未来の技術なのではないでしょうか。そんなわけでハードウェアが持つダイナミックな魅力を体感するためにも、一度は訪れてみると良い施設だなと思います。

物は試しで有料登録してみました。が、お金貰える文章書けないので普通に全文公開です。

投げ銭感覚で配置だけしてみます。

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