3Dデータを強度シミュレーションにかける際、メッシュを切って計算用の近似形状にモデルを置き換えます。
僕が解析するときはTet、つまり4面体で置き換えるのですが、その際にTet4とTet10という、2つの要素が選べるんですよね。
この二つの違いは節点の数が違う、だけではなかったというのが、最近の学びを書いていきます。
Tet4とTet10要素とは
Tet4は一次要素、Tet10は二次要素です。
図解の通り、Tet4には4面体の頂点に節点があり、加えてTet10には中間点も含め10の節点があります。
節点とは、要素の境界上にあって要素同士を結合する点であり、解析では荷重、固定の条件を与えられる、挙動を示す部位です。
一次要素と二次要素の補間の違い
丸の形状を、Tet4とTet10それぞれで近似すると、どのように表現されるでしょうか?
正解は、下図のとおりです。
Tet10、つまり二次要素は節点が増えただけではないことが、この図から読み取れるかと思います。
なぜ二次要素はこのような補間になるのか?
それは、二次要素が二次のラグランジュ補間多項式で表現されるからです。二次関数だから、曲線を描けるわけですね。
対して一次要素は一次のラグランジュ補間多項式で表されるため、直線にしかならないわけです。
Tet4とTet10の使い分け
Tet4とTet10の表現の違いを知りました。では実践で、どのように使い分けるべきか。
解析対象、ないしは部位に曲面が絡むかどうかが一つの材料になるでしょう。
一次要素で表現される角の存在は、滑らかな曲線では起こり得ない応力集中を引き起こします。解析で見たい箇所に実際にはない応力集中があると、誤った結果・判断に繋がりますよね。曲面が絡む形状、解析でより正確に確認したい部位はTet10、二次要素でメッシュを切るべきです。
一次要素は、解析で特に見る必要がないもの、例えば荷重を与えるための押し子や、解析物を固定するための補助形状、に使うのが良いでしょう。なんでもかんでも二次要素を使っていると、計算量が増えて解析に時間かかっちゃいますからね。
まとめ
Tet4(一次要素)とTet10(二次要素)の違いを漸く理解できた、というお話でした。
今まで趣味程度に、フィーリングでCAEをやってきたのですが、真面目に関連書籍を読むと、不明だった根っこの部分が見えてきて、解析への理解が深まりますね。
設計者はもっとCAEを使っていって「それでイケるエビデンスあるの?」「その形状、懸念あるよね?」という声をガンガン打ち返して仕事を前に進めていくべきです。なので隙の無いよう、使いこなしと背景の部分とを、もっと深く学んでいきたいですね。
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