WICの中から

機構設計者が株式投資や育児に奮闘するblog

しょうもないように見えることこそ大事なことなのだ

ネットのおかげで世界は狭くなり面白そうなことをしてる人、難しそうなことをしている人、胸を打つような作品を作る人、など凄い人が身近に多くいるように錯覚することが増えました。

翻って自分の仕事を見てみると、何か"映える"ようなものでもなく地味で地道なものの多さに気が付きます。ハードウェアの量産設計ですからね。

量産設計は技術・設計的なもの以外に時間を使うことが多くて、例えばねじを1本0.5mmほど動かそうとしたら電気屋、製造工場、組立工場、その他...と幅広い関係者の合意が必要になってきます。そのためには資料作り・説明・根回し・検証...と多くの段階を踏むこともあるわけです。CAD作業だけなら秒で終わる作業を、何の技術的経験値にもならないけれど、ハードウェアの量産設計ですからね。

若い時分にはこうした物事に価値を見出せず苦しんでいました。いや、現在進行形ですね、いまでもキラキラエンジニアとの差異に苦しみを覚えています。

一方でこうしたしょうもないように見えることをきちんとやることも大きな仕事を回すためには必要で大事なことだと思うようにもなってきました。

多くの専門部隊間の調整の結果生まれた設計データを、これまた多くの工場が現実との落としどころを探りながら作り組み立てるわけです。 製品として流れるまでのチェーンは長く、ちょっとした解れで瓦解するほど脆い。そこを辛うじて繋ぎとめるためには、腹に一物を抱えながらも周囲と協調し妥協なく妥協点を見つけ、もしくは作り出していくわけです。

映え無いし、折衝は精神の損耗激しいですが、ハードウェアの量産設計ですからね。

自分も周りの同僚もそういうしょうもなさそうな事を勤しむことで1人では決してできない大きな仕事を回しているわけですし、世の中の大体の仕事は同様に地味で地道な仕事が絡み合って成り立っているわけで。そうしたものが会社であり国でありを形作っています。

そう考えると、日々の雑事にも意義が見いだせるというものです。

そんなわけで今日も、頑張りますか。