WICの中から

機構設計者が株式投資や育児に奮闘するblog

僕の設計は破壊され復活の時をただ待つ

始めて設計業務を振られた時、僕は何も分からず、ただただ我武者羅だった。

弊PJに若手がやってきた。CADの使い方は分かるものの、いわゆる量産設計は初めてというピカピカの若手だ。さて、どう仕事を振りソルジャーへと成長させるべきだろう。

初級設計者の教育方針は大きく2つのパターンがある。1つは基礎的な知識だけを授けて応用は実戦で傷つきながら覚えてもらうパターン。もう1つは出来る限りケアして既知の落とし穴を全てを伝授して覚えてもらうパターンだ。僕自身は前者で鍛え上げられたものの、今回僕は後者で進めようと思っている。前者は会社や人に対する恨みが募ることを身をもって知っているからだ。

そんなわけで比較的とっつきやすい部分を、ある程度の設計的検討を済ませた状態で、やることを自分なりにかみ砕き明確にして渡してみた。結果どうなったか。僕がそれなりに検討していた数値は動き、混迷に身を投じているようだった。

そこで改めて思い出したのが、自分が初めて設計を行った時のことだ。
知識という灯りが無くそれぞれの部品の公差も、設計制約も、構造が持つ設計意志も、何も見えない。そんな闇の中で自分なりの解を求めて資料を読みあさり過去モデルを参照して、結果混沌と化していたデータや検討ファイル。どんなにケアしようと、やはりある程度の経験が無いとスンナリとはいかないものなのだなぁ。

そんなことを想いながら日々データをウォッチしていると、徐々にデータは整い始めて設計的成り立ちも蘇りつつある。危うげなところにはちょいちょい口と資料を挟みつつ、それでも本人主導で設計は復活しつつある。向上していく設計完成度は若手の実力の成長を見ているようで、その過程を見られるのは得難い経験であるとともに心の奥底の濁った部分がクリアになっていく感覚すら有る。

色々な雑事に心濁りつつある今日この頃ですが、良いこともあるというわけで。