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【2023年】読んで良かった本

今年も終わりが見えてきたので、読んで印象深かった本を語っていきます。

今年の読書量まとめ

読んだ本は今年から読書メーターで管理するようにしまして、12/10時点で53冊読んでいるようです。

bookmeter.com

昨年からの変化点としてはビジネス書的なものの比率が落ちて小説を多く読みました。これは公私ともに負荷が高い時期が長く、実用的な文字を読むのが辛くなり娯楽を欲するようになったからですね。

風と共に去りぬ

牧歌的でのどかな南部アメリカが過酷な南北戦争を経て不可逆に、苛烈に変化していく。大農園の娘スカーレットは華やかな少女時代から失恋を経て、さらに戦争を機に生存のため激動の日々を過ごしていく、過ぎ去った古き良き時代を振り返らないように。スカーレットの逞しさと、前向きさで何とか苦難を乗り越えるものの、容赦なく押し寄せる荒波と運命のいたずら。人生ってままならないものだよな、でも頑張って生きていくしかないんだよな。そんな人生そのものとも言える、小説でした。

題名が良すぎて名前だけ知っていたものの、6巻読むのがキツイのでなかなか手を出せずにいました。が、いざ読んでみると面白いんですよね。特に戦争が始まってからは事態が急変することが多く、環境の変化に応じてスカーレットから見た周囲の人の評価や読者から見た人物の評価が大きく変わったりと、大いに揺さぶられました。

マクロ的なお話作りが秀逸なだけでなく、ミクロな心理描写も見事でした。僕は日本産まれ日本育ちなので南部アメリカに何の愛着も無いのですが、スカーレットの心情・風景描写を通すと土地への愛着や憧憬に凄い共感できるんですよね。少年から青年時代に過ごした田園風景、もう二度と戻れないあの時期に揺り戻されるような衝動に駆られます。

総じて、良い読書体験でした。長い時のふるいにかけられて残っている作品に間違いはないですね。

Die with Zero と 限りある時間の使い方

この2冊は同じようなことを言っていると思ったので両方紹介。

人間、将来のことを重視してしまうために今を軽視しがち。将来のためにお金を貯めたり時間を投資したりして、人生を本当に楽しむことを考えられているのか?死ぬときに持っていけるのは思い出だけ、どれだけ小手先の効率を上げても仕事が片付く日なんて永遠に来ない。だから、本当にやりたいことをやれる時期にやるべきなのだ。

これらの本を読むにはちょうど良いタイミングがあると思っていて、40手前の自分はいい塩梅だったなと思います。今までそれなりに将来に投資してきたし、蓄えもそれなりにある、身体は衰えつつあるけどまともに動く、仕事に対するスタンスも固まって来た。まだまだ将来について備えは万全とはいかないまでも、「今」に焦点を向けてもいい頃かもしれないと考えさせられました。

そんなわけで僕は今年PS5を買ってFF16をトロコンして子供にポケモンバトルのいろはを教えてるわけですが、それはまた別の話という事で。

教養としてのコーヒー

コーヒーはよく飲むのですがカフェラテとカフェオレの違いがわからない程度に知識がないので読んでみました。 世界史におけるコーヒーの遷移から、現代のコーヒービジネス、世界と異なる日本のコーヒー嗜好、そしてコーヒーの種類や豆の特徴などなど…多岐にわたってコーヒーの事を知ることができます。

何故自分がコーヒーを飲むのかよく分からないまま仕事前と昼食後にコーヒーを飲んできました。単純にカフェイン中毒なのかなと思ってもいたのですが、ドリップコーヒーを入れる作業と禅の関連性が指摘されていて、自分としてはしっくりしました。ケトルから注ぐ湯を受けてプツプツ沸き立つ泡、立ち上る湯気、少しずつ抽出されていくコーヒー、それらを儀式的に何度も繰り返すうちに精神が切り替わるんですよね。単純に味だけでコーヒーを飲んでいるわけではないのです。

コーヒー豆の違いについて知れたのも良かったのですが、やはり面倒なので当分はBlendyのドリップコーヒーが主体のままですかね。もうちょっと時間に余裕が出来たら豆を買って抽出したいものです。

プロジェクト・ヘイル・メアリー

SFはそんなに得意じゃないんだよなーと思いながら読んだらハンマーで殴られたような衝撃を受けた作品。そのまま記憶喪失になってもう一度読み直したいくらいだ。

記憶喪失の主人公が過去を回想しながら徐々に自分を、自分の居場所を、自分の使命を思い出していく。そんな中で驚きの、、、とにかく自分の目と脳で確かめて欲しい作品だ。

先がどうなるか気になる演出、予想のはるか斜め上を行く展開、テンポよく読ませてくれる文体、そして科学的なハッタリ。そのすべてが楽しい、エンディングも爽やかだ。いいからプロジェクト・ヘイル・メアリーを読め。

まとめ

今年読んで良かった本を紹介しました。

前述の通り今年は小説をよく読んでて、ライトだったり古い物だったりを試しました。自分としては過去の名作の方が刺さった印象です。本屋に行くと色々と新しい本があるわけですが話題になっているものも良し悪しがあるわけで、過去の名作は時間のふるいにかけられている分はずれの率が低い印象でした。

小説の比率が多いのもあって今年はそれなりに本を読めたので、この感じで来年も読書量を確保しつつ知識をつけるような本の比率も増やしていければよいですねー。