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2021年読んだ本で印象に残っているものを語る

今年は読み切った書籍数は12冊前後、内容をおぼろげでも覚えているものはその半数と読書に対する姿勢がガッタガタでした。自分にとって読書は精神を消費して読むもので、今年は精神を削られるイベントが多かったのが主因かなと思ってます。このあたりは別で年末振り返り記事にでも書きますか。

この記事では今年読んで印象に残ったものを紹介していきます。小説系はネタバレありです。

コンテナ物語

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その箱は世界を一変させた。

コンテナに色々詰めて、それをそのまま船・トラック・鉄道に乗せ換える。今の時代には当たり前に聞こえるアイデアですが、コンテナが誕生した当時はそうではなかった。紆余曲折を経つつもコンテナは海運のあり方を変え、コンテナ船誘致できるかどうかは国の盛衰にも関わり、輸送費の大幅な削減はモノづくりの在り方すら変えてしまった。

見どころは泥沼感あふれる労使関係ですね。コンテナを使うことで港の労働者が必要でなくなり労働者を削減したい会社側と、稼ぐために仕事を続けたい労働者側。テクノロジーの見せるきれいなところだけでなく、現実的で避けようもないリアルを丁寧に書いていて読みごたえがあります。

今年一番の本でした。

三体III 死神永生

前作にて三体世界との争いに終止符が打たれて、ここからどう展開するのかなと気になってました。すると再度三体世界と争うことになったり、三体世界が滅んだり、地球も滅んだり、急ピッチで世界が動いていきまして、スピード感に置いて行かれたまま読み切った印象です。さながらプッチ神父のメイド・イン・ヘブンのよう。

今作の主人公は自分目線では結構ストレスがたまる存在で、物語を悪い方に悪い方にと進ませていくんですね。主人公としては珍しいタイプな気がします。世界観のシビアさのなかで女性的な優しさ・倫理観を持っているが故、というので分かるは分かるのですが…地球人類もうちょっと頑張れよと言いたくなるのですよね。

三体IIIでは文明を破壊する手段として次元を落とす攻撃が出てきます。3次元だった地球は2次元へと落とされ紙みたいなる、と。そして3次元の世界も元々は上位の次元であり文明間の争いを経て次元が落ちてきたのでは、、みたいな話で壮大も壮大ですね。光景が創造に難いものですが発想が新しく、脳に新鮮な空気を与えられた印象でした。

3部作、僕は一般人なので最初が一番読みやすくて好きです。ただどの話も共通で、スピーディかつ読めない展開にページをめくる手が止めさせてくれない魅力があります。面白いですよ、三体。

レ・ミゼラブル

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やっと読み切った...!物語単体だけでなく長年読んでいて読み切れた達成感で印象に残ってます。

物語の骨子は憎悪の塊であったジャン・ヴァルジャンが聖者に触れ改心し、幾度の試練にて心揺さぶられるものの正しい道を歩んでいき、聖人として生涯を終えるといったものです。

作中には多くの「悲惨な人々」が登場します。そして悲惨な人々はとれる選択肢の少なさから、より悲惨な方向へと進みがちです。

自分も、やりたいことはさておきとして、まずは家族そして自分の身の回りの人くらいは悲惨さから遠ざけるよう行動していかないとなと思わされました。

実力も運のうち 能力主義は正義か?

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労働の尊厳が失われている、という論に印象を受けました。

生まれてからずっと資本主義に浸かっている身からすると能力の希少さが給料と結びつくことに疑問は無かったのですが、本著を読んで違う価値観が頭にインストールされました。 労働そのものは人のためになるもの、特に低賃金とされるインフラを支える人たちほど人のためになっている。これら、いなくなっては困る人ほど低賃金で周囲から侮られている、能力が低いとされている。(少なくとも本人はそう感じる)能力が全てで、自己責任を押し付けられ言い訳する余地もないまま尊厳を奪われ生活に困窮する日々を生き続ける。

そういう世界観があるのかも、と思うようになったわけです。

まとめ

今年読んだ本で印象に残っているものを紹介しました。

改めてみるとブログで記事を書いたものばかりですね。いま読んでいる本に言及されているのですが、書くことで自分の言葉に落とし込んだため記憶への定着が良いのかもしれません。反対に、記憶に定着するほど面白い本だったからブログに書いているのかもですが。

そんなわけで来年は読んだ本全てに軽く感想を書くようにしていきます。記事にするかどうかは別として。