WICの中から

機構設計者が株式投資や育児に奮闘するblog

海外出張は若いうちに経験したかった

今年に入って海外の工場に出張する機会が増えています。

もともと、僕が転職した理由に「海外の工場を見たい」との思いがありました。今の状況は念願叶って、と言えます。
現場を見ることは勉強になります。製造に携わる人の性格や使っている設備を知ることは設計検討に活きるのです。何より、海外の人・文化から新たな価値観を得られます。「こんな世界があったのか」これだけネットが普及し世界が狭まった現代でさえ、自分の五感で感じることは重要です。誰のフィルターも通してない現実がそこにあります。

一方、海外出張には負担が伴います。歳を取り、背負うものが増えれば増えるほど、負担は大きく…。

今日はそんな、海外出張の話をします。

恵まれていた日本の工場

前職では日本の製品組立工場に飛ばされることこそあれど、部品の製造工程や作り込みに設計者が深く入り込むことはありませんでした。

出張の機会が多かった製品組立工場でも、設計と製造の間に垣根がありました。製造起因の問題は優秀かつ真面目な日本の製造技術者が原因分析・対策検討を行い、設計者は設計に起因する問題に集中して解析を行うのです。

いま思うと良い環境でした。「自立した工場とはどんなものか」を知れたのも、世界を知る上で良かったです。

海外出張で製造を深く意識するように

海外のベンダーと直接やり取りをして思ったのが、言えばやってくれるけど積極的に提案してこない会社があることです。

何らか製造で問題が起きた時に、「どこで起こっているか」「どう対処するか」「なぜ起こったか」「次からどう防ぐか」を言わずにやってくれるところもあれば、まったく動いてくれない会社もあるのです。

動いてくれない会社にはどうするのか。設計者が動くしかないんですよね。使っている設備や工程を理解し、リスク箇所を洗い出して対策を打つ。そうしていると、製造への理解が深まります。

製造への理解が深まると、設計するときも設備・工程を頭に入れて検討できるようになります。製造を考慮した設計は、実際に物が出来上がってからも安定して製造できるものです。

人生の早い段階で、製造面への理解がもっと進んでいたら、もっと高いレベルの設計ができるようになっていたことでしょう。

共働き家庭における海外出張のつらさ

僕は結婚して、保育園に通う子供もいます。僕も嫁さんもフルタイムの共働きです。僕が海外にいる間は、嫁さんが送り迎え含む全ての家事を行うことになってしまいます。

子供はかわいいです。一方で、小さな子供は自分の欲望に忠実で、厄介です。

フルタイム労働と保育園の組み合わせは、時間的な縛りが厳しいです。子供が朝グズると保育園に、会社に遅刻します。夕方のお迎えや夜のお風呂でグズると、睡眠時間が削られます。削られた睡眠時間は親子の精神を削り、子供はグズるし親はカリカリしてしまいます。負のスパイラルです

親が2人いると、まだ何とかなります。片方が面倒見ている間に、もう片方は回復できますからね。2人いて楽になるのは、単に負荷が半分になるのみではなく、回復することができるからです。これが1人だと、消耗しっぱなしになってしまいます。

家が大変なのは理解している、話も聞こう。しかし物理的には何もできず無力。国内に比べて期間も長い分、パートナーにかかる負担も大きいです。出張はフルタイム共働き家庭には絶望的に向いていません。特に、海外は。

まとめ

何が言いたかったか。まとめてしまうと「自分のことだけを考えていられる時期に、がんがんレベルを上げておきたかった」

製造を知れば設計スキルが上がると述べましたが、逆に言うと設計するには製造現場を知る必要があるのです。設備にせよ部品にせよ、ハードウェアは物理的制約が伴います。縛られてしまうのです。

僕が設計者でいる限り、今後も出張の声がかかることでしょう。その度に嫁さんに負担をかけてしまうのか。どうすれば家庭をうまく保てるのか。

共働きが増えるに連れて、出張や転勤など家庭に負荷がかかるイベントへがますます避けられるようになるのではと思います。そうしたとき、出張しなくても現地の情報が取れるシステムやテクノロジーが存在しているのか、働き方を変えるのか、はたまた道を諦めるのか。

ま、未来のことを考えても何にもなりません。今の僕が思うのはやはり「海外出張は若いうちに経験したかった」

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