WICの中から

機構設計者が株式投資や育児に奮闘するblog

ウェディング滝行

社会に出て時が経てば経つほど、精神は傷つき、汚れ、邪念が溜まっていく。

愛する人と結ばれる時は、せめてピュアな人間に戻りたい。

そうした願望からか、自分の観測範囲の限り、僕を含め4人に1人くらい結婚前に禊(みそぎ)として滝行をしている。

そして、また1人…

僕は車保有者ゆえに足役として、カメラ保有者ゆえに撮影者として、此度のウェディング滝行に駆り出された。

夕日の滝

これまでの滝行は、人が少ない冬場の滝に勝手に打たれるスタイルだった。しかし今回は違う。
いい大人になった僕たちはヤンチャするには時間も体力も無くなったし、体裁にこだわるようになってしまった。

お金を払えば、変な滝を目指さなくとも本格的な滝行を行えるし、それっぽい絵も撮れる。
そんなわけで、足柄修験の会さんに18,000円を払い、指導と撮影をお願いしつつ滝行チャレンジをすることにした。

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当日、自損事故で20万支払って修理したばかりの車を、「きちんと集合場所にたどり着けるかな」なんて不安を抱きながら運転していた僕を「滝行」という大きな看板が引き寄せてくれた。非常に分かりやすくて良い。

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滝行を行う夕日の滝近くにはバンガローがあり、ファミリーっぽい方々が宿泊してアウトドアを楽しんでいた。僕も30を超えたおっさん5人で来るより、嫁さんと子供を連れてきたかった。

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足柄修験の会の方や、ほかの参加者の皆さんが集まり、空手着に着替えていざ出発する。法螺貝を吹きながら移動する様は、修行というよりアトラクションだ。修行に挑むという悲愴的な空気はなく、どの参加者も浮足立っていた。

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歩くこと5分、夕日の滝に到着する。いや、ほんと早いな。水温5度の中、30分川をさかのぼって滝行した僕からすると、もっと苦しんで欲しかった。苦行感が欲しかった。

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お堂にて、滝行する人は滝行前の儀式が始まる。
撮影班は三脚を取り出したり、アングルを練ったりする。僕は好き勝手に写真を撮っていた。

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シャッタースピードを変えて水の見え方を変えてみたり、わざとアンダーにして水しぶきにより岩の輪郭を再現してみたり。

滝の撮影は色々と遊べて非常に楽しい。

実はカメラを買ってから、自然を撮る機会があまりなくて、こういう変化を楽しみながら撮るって機会が無かったのだ。

僕が子供のようにはしゃぎながら写真を撮っている間、優秀な他の撮影班が良い感じに色んなシーンを撮ってくれていた。ありがたみ。

儀式が終わり、参加者はいよいよ滝の間際に移動する。水温は6度半ば、水面に一度身体を沈めるだけで「返ってシャワー浴びて、うどんでも食べたいな」となる温度だ。

身体を冷水に慣らさせるため、修験の会の方が容赦なく参加者を追い込んでいく。

そして、一歩後ろに!滝行の始まりだ。

滝に打たれる男

滝に打たれるとともに、声にならない声で愛する者の名前を、愛を、雄たけびを、とにかく叫ぶ。
寒い時期の滝に打たれた人しか分からないのだが、打たれている間は大声を出してしまうのだ。そうでなければ、息が出来ない。息を吸うために吐き出さないといけないという矛盾。

フリーの滝行はやめたいタイミングでやめれるが、今回は違った。
修験の会の指導者さんは追い立てるし、他の参加者の目もある。プライドがかかってしまっている。
結果、彼は1分30秒をやり切った。凄い。「時間的にもう一回いけますが?」という申し出には、しっかり固辞していた。

ともかく、彼はやりきった。もはや邪念もない。良い絵も撮れた。完璧な人生だ。

夕日の滝、お金を払わなくても、人がいなさそうな時間で勝手に滝行できるのでは…?という邪念が僕には少し芽生えたが、終わったことにこだわってもしょうがない。

みんなも、滝に打たれて綺麗な体で結婚しよう。

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