WICの中から

機構設計者が株式投資や育児に奮闘するblog

職場に風邪が蔓延しつつある恐怖

職場のマスク密度が一段と増えてきた。耳を澄ませば咳の声、朝イチに受け取る電話は体調不良のお休み連絡、間違いなく職場に風邪が蔓延しつつある。

年末のこの時期は特に風邪が流行りやすい。連日の忘年会で体が弱り、年末納期のお仕事に間に合わせるために業務密度は上がり、気温が急下降する。その上、首都圏に勤務する僕などは満員電車による驚異的な病原菌拡散効果も受けている。これほど病気しやすい環境があるだろうか。公衆衛生が発達していても、これでは何の意味も無い。

「あすは休みます。」年末までの最重要タスクを済ませた同僚が、今日の帰り際に宣言した。口にはマスク、手には風邪薬……満身創痍の有様で、平時ならば自他両方のために休むべきだと言い聞かせるような状態だ。しかしそう言う事は出来ない。僕らは設計者で、そのデータを細部まで説明出来るのは設計した本人だけだからだ。設計者でなくては分からない計上、寸法というのはどうしても存在してしまう。

僕たち設計者は計上を作る時に何らかの意味を付加する。壁の厚みはULの防火等級を意識してか、それとも過去の実績から強度を考えての事なのか。0.05mmの精度で突き詰めた隙間は公差を3σで考えて決めたものなのか、バックアッププランも用意してあるのか。ゲートの位置はどこで考えていたのか、金型のPLはどのようにする予定なのか…それらは専門外の人はもちろん設計者であっても、その人が形状にこめた意思は3Dデータから読み解く事はできない。その部品を設計していた人だけが伝える事のできるものなのだ。

「人が一人いなくなってパンクしちゃう職場なんて、きちんとマネージできてないだけだよ」そういう人もいるだろう。それは大体の場合においては正しい。しかし仕事には時期がある。絶対にその人が抜けてはならない…そんな時期が。

僕は明日休める同僚が羨ましい。彼は時期を乗り越える事ができた。後は倒れても他の人が業務を進めてくれるだろう。僕はまだだ。あと少し動かなくてはならない。そんな僕に残された自衛の手段、手洗い・うがい・マスク着用、栄養バランスの整った食事、十分な睡眠…あまりに貧弱だ。そもそも仕事の山場と続く飲み会による後ろ二つは達成すら出来ていない。気のせいか体がけだるい気がしてきたぞ。

風邪の足音は確実に僕に近づきつつある。昨日は2つとなりの席、今日はとなりの席が病欠による空席となった。コワイ!それでも僕は明日も満員電車に乗って会社へと行く。執念と葛根湯を盾に僕は歩き、求め続ける。山場を超えた後にある年末休み、そしてその前後に取得予定の有給休暇を。あと少し!あと少し!