半年ほど細々とプレイしていたオクトパストラベラー、ようやく裏ボスの黒呪帝ガルデラを撃破して終了と相成った。
オクトパストラベラーは古き良き時代を思い出させてくれる素晴らしいJRPGだった。
細かく作り込まれた世界観に冒険や激戦を盛り上げるBGM、そしてドット絵。このゲームに惹かれたのは間違いなくドット絵だった。ドット絵があるからこそ、あぁこのゲームは子供時代をスーファミで過ごした人間に向けられているのだと直感したし、僕がやるべきゲームだなとも感じたものだ。かつては「RPGはストーリーが大切で、グラフィックなんて2の次なんだよ」と言っていた僕こそ、グラフィックを何より重要視していたことに今になって気付かされて、ちょっと気恥ずかしい。
オクトパストラベラーは僕にとって久々のJRPGだった。これ以前にプレイしたJRPGは何だったろうか。恐らくPS3の時代まで遡る...それくらいJRPGから離れていた。
JRPGから離れていたのは、結婚と子育てでゲーム自体のプレイ頻度が減っていたのもある。ただそれ以上にJRPG自体への飽きがあったのは確かだ。
見るもの全てが新鮮な子供の頃と違い、大人の僕はゲームの枠を超えていくつもの名作に触れてきている。ストーリーやキャラクター作りへのハードルは上がっている。またプレイ時間が細切れとなる一方でストーリーを進めるためにレベリングやダンジョンに時間を割く必要があるのがJRPGなわけで。ストーリーに浸かりたいのに、本筋と関係ない作業を行うことに忌避感もあった。レベリング自体が好きな人もいるだろうが、僕はそのタイプではない。あとは、良い大人なのだから何か身になることや家族のために時間を使うべきというボンヤリとした思いもあった。
実際にプレイしてみたオクトパストラベラーは、僕のような大人になったかつてのゲーム少年に配慮されていた。ダンジョンは小さく、ストーリーを追うだけなら普通のエンカウント分をこなしていればレベリングは無用、アビリティも絞られて必要最低限だし、ファストトラベルは最初から利用できる。ストレスを抑え、作業を抑え、余裕がある人にはサブストーリーやモブキャラのプロフィールを覗くなどで世界観に浸れる裾野を用意している。
ストレスフリーなゲーム仕様に加えて、僕はネットの叡智も利用してしまった。おすすめのジョブ組み合わせは?ボスまで最短にたどり着くためのマップは?ストーリー進めるための手順は?強い装備の見つけ方は?
全ては効率のため。ゲームを早く終わらせて他のことに...身になることや家族のために時間を使うため。こうなるともはやゲーム自体が作業。何のためにやっているんだろう、と疑問を持つこともあった。Steamでは「もうJRPGは卒業だな」なんてレビューを見かけて、自分も同じなのかなとも思った。
それでもゲームは苦もなく続けたし、クリアすると充実感があった。改めて気づいたたのが、僕をグラフィックやストーリーを消費して楽しんでいるだけでなく、ゲームを進めることや終わらせることで得られる達成感も合わせて消費していたことだ。グダグダと自分語りをしてしまったが、詰まるところ僕はゲームが好きだしJRPGが好きなんだな。
たぶんまたしばらくJRPGから離れる日々が始まる。けどそれはJRPGを巡る旅の終着を意味するわけではない。今回のオクトパストラベラーのような、良質なJRPGを感じたら僕は再び冒険を始めるだろう。名作と呼ばれるコンテンツを経ようと小説より奇なる現実を生きていようと興味が消えることはないJRPGは、僕にとって確固たる趣味なのだ。
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