今年は色々銘柄を調べているので、頭の整理を兼ねて調べたことをブログに残します。
今回は【4556】カイノスを調べてみました。
何故この銘柄に注目したのか
- 低PBR(0.83倍)かつ「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」開示
- 敗血症マーカー市場への参入
- 直近の業績が増益基調
事業内容
病気の診断に用いる検査試薬の製造・販売を行っています。
身近なところで言うとインフルやコロナで鼻に棒つっこむやつですね。
人口減と共にシュリンクしそうではありますが、病気の診断は景気に関係なく必要なのでビジネス自体は安定してそうです。
業績・財務
売上は伸びてるのか変動しているだけなのか判断が難しいですね。コロナが流行っていた時期は外来患者の減少で売り上げ減、2018年度はアレルギー検査試薬の競合影響と特許のロイヤリティ収入の減少で売り上げ減となっているようです。
そんな中でも利益面は右肩上がりで、営業利益率は元々5%前後だったのが直近だと15%を超えてきていますね。決算説明でもありましたが工場の自動化や配送費、基幹システムの合理化を進めて効率化されているようです。堅実にやることをキッチリやってる印象ですね。ROEも10%程度で、PBR1倍切っていることを考えると結構優秀なのではないでしょうか。
ちなみに今期は3Q時点で純利益は通期予想を超えており、実質のPERは今の8.7倍よりも低くなりそうです。3Qで予想超えてるんだから上方修正してくれても良さそうなものですが、そういうアピールは熱心じゃないのですかね。スタンダード銘柄って感じ。
ちなみに今期の好業績はインフルが早い段階から大きく流行ったのが大きそうですね。
財務、IR BANKさんより。
有利子負債を地道に返していって自己資本比率も改善、いまいま70%超で健全ですね。
資産の内容も現金と売掛金から借入と買掛金を差っ引いて33億、土地が18億。これだけで時価総額と同等なので事業の価値はあまり見られていない水準と言えそう。直近の日経暴落でもそんなに変動してませんでしたが、ここら辺の割安感があるのかもしれないです。
CF、IR BANKさんより。
2020年の財務CFは自己株式の売却によるもの。旭化成ファーマとの連携を強化するための政策保有株ですね。2022年にはシスメックスにも第三者割当してます。政策保有株、世間的には保有しないような向きにありますが、この点は逆行してますね。 投資にはあまり資金を使っておらずFCFは概ねプラス。蓄財してますね。
配当、IR BANKさんより。
2019年に大きく自社株買いしてますが、これは翌年の旭化成ファーマへの株売却の布石ですかね。安定したFCFと控えめな投資のわりに配当性向は高くなく概ね20%。配当利回りだと2%半ばから後半くらい。ちょくちょく自社株買いしてくれているので総還元でみると良い年もあります。が、手持ちの資産を持て余している感はありますね。安定しているんだし、もうちょっと配当出してくれても良さそうな気がしますが。
敗血症マーカー
専用機か診断キット的なものが大半の敗血症マーカーの市場に、他の成分も含めて分析できる装置で使える新開発品を投入するそうです。
2年後に10億の売上目標としており、カイノスの売上規模の2割程度。割と大きいような気がしますね。想定通りに売れるかは継続してみていかないと何ともですが。
あとはシスメックスの免疫検査プラットフォーム向けに試薬も発表してました。連携強化している感出てますね。一度採用されると再度使われ続ける系のビジネスと思うので、地道に試薬の幅を増やしていければ売り上げもちょっとずつ成長するのではないでしょうか。
まとめ
カイノスについて調べてみました。
業績と財務の安全性が高い一方で業績成長に乏しく急な伸びは期待できない感じ。配当が多ければそれでもいいのですが、現状は還元もイマイチで投資するわけでもなくキャッシュが積まれていますね。ひと桁台のPER、1倍切っているPBRは、その辺りへの失望感の表れかなと。
PBR改善について色々書かれていますが、2023年度は特に際立った行動をとってはいないですね。ROEは向上しているかも、あとIRのアピールも増えたかな?くらいですかね。増配はしていましたが、前述の通り3Qで通期利益達成しているのでそれくらいは。
株価は時折パルスみたいな瞬間的な上昇が見られます。これを無視して数年単位で見ると微妙に右肩上がり。長期で持っていると大きな成長はないものの着実なリターンが見込めそうな感じはありますね。あとはフリーキャッシュや現金をどう使うか次第ですか。
ここまで述べてきたことはあくまで僕の見解なので、実際に投資を考えている方はご自分で調査・解析を行い自身の判断の元で行ってくださいね。