WICの中から

機構設計者が株式投資や育児に奮闘するblog

【4690】日本パレットプールを調べてみた

今年は色々銘柄を調べているので、頭の整理を兼ねて調べたことをブログに残します。

今回は【4690】日本パレットプールです。パレットとは物流で使われる、荷物を載せる台のことです。日本パレットプールはそのパレットをレンタル・販売するビジネスを行っています。

何故この銘柄に注目したのか

  • 低PER/低PBR (5.77倍/0.63倍 @24.03.08時点)
  • 物流の2024年問題

事業内容

冒頭に書いた「パレットをレンタル・販売している」が全てなのでシンプルで良いですね。
パレットを使った輸送はバラ詰みに対して積載量が減ってしまう一方で、荷受け時間の短縮につながります。

レンタルしたパレットは借りた場所で返すもよし、不要になった場所で返すでもよいです。

www.npp-web.co.jp

パレットはID番号を発信するようになっており、現在地や移動履歴が取得できます。

これによりパレットの紛失や偏在状況を把握出来たり、荷物の所在を追うことも可能です。

直近の業績と24年予想

劇的な成長は無いけれど安定しているように見えます。

21年度の売上減はコロナによるもの、22年度の利益減はデポ再編による減損2億、23年度の利益増は木製パレットの耐用年数変更による減価償却費の減少によるものです。今期の3Q時点では減益予想で、パレットの新規取得料を増やしたことによる減価償却費の増加が効いているようです。後述する24年問題に備えた投資でしょうかね。

営業利益率は10%前後で、20年から見ると販管費は大きく変わらず原価が改善していくことで改善していってるように見えます。
同業の【7065】UPRが5%程度で推移していることを考えると、悪くない利益率ではないでしょうか。

この利益率の差はどこから来るのでしょうか。UPRがPER13倍なのに対し日本パレットプールが6倍弱と割安なのはなぜなのでしょうか。

UPRの決算をチラ見してみると販管費の割合が高いです。また直近の決算でもベースアップによる販管費の増加が報告されていました。

四季報で見ると平均年収は日本パレットプールが459万、UPRが743万と大きく開きがあります。仮に日本パレットプールがUPRと同じ平均年収とすると、従業員数100人なので3億くらい利益が減る感じでしょうか。営業利益の3割くらい減る形になり、そこを基準でざっと計算してPERは8倍程度ですかね。これでもまだ安いと言える水準ですし、そもそもそんなに急に給料が増えることも無いでしょうが。それにしても日本の同じ業界でここまで年収差が開くことってあるんですね。日本パレットプールは平均年齢が高いので、再雇用の人とかが多いのかな...。

また資産面。PBRが0.6倍台と驚異の安さですが、内訳をみると8割がたレンタル用器具です。流動資産は借入金と同等程度なので資金に余裕がある感じではありませんね。自社株買いとか増配とかはあまり期待しない方が良さそうです。

競合

パレットレンタルの最大手は非上場の日本パレットレンタル、売上規模は279億円。上場している競合は上述のUPRで物流事業売上が137億円。

日本パレットレンタルは非上場なのであまり情報が出てこず、UPRのことは業績のところで色々語ってしまいました。

HPを見る印象だと日本パレットレンタルやUPRはパレットのレンタルのみならず物流DXまで手を伸ばしてソリューションにも力を入れていたり、他社と共同で効率化を目指したりと進んでいる印象を受けます。

一方デポ数(貸し借りの拠点)は日本パレットプールは200箇所、UPRが190箇所、日本パレットレンタルは59箇所とありました。売り上げ規模が小さいもののデポ数は多く、貸し借りの利便性は高いそうな印象を受けます。

物流の2024年問題

物流2024年問題はトラックドライバーの労働環境改善により、これまでチートを使って維持していた日本の物流が成り立たなくなるだろうという問題です。

jta.or.jp

物流2024年問題に対しても、物流の効率化として「物流革新に向けた政策パッケージ」にてパレット促進が言及されています。荷受けの時間を短縮することでトラックドライバーの労働時間減をカバーできれば、といったところですかね。 パレットの利用を促進するだけでなく、パレットに搭載する外装を標準化してパレットの積載効率を上げたり、パレットのサイズ事態を標準化する話が出ています。この辺りはコンテナ物語のコンテナの歴史に通じるところもありますね。標準化されたコンテナにより荷受けの時間が圧縮され運送コストは劇的に下がり、海外を含めたサプライチェーンの構築が可能となり、最終製品が安く作れるようになりました。パレットについてもそこまでの規模ではないにせよ、効率化の効果が感じられると良いですね。

で、パレットの現状はというと。調べて出てきたパレットの使用率を見ると8割程度が適用済みと、現時点でも結構利用されている印象を受けます。成長余地はあるのでしょうか。

一方でレンタル比率を見ると31.7%です。レンタルすることのメリットを打ち出し、浸透させられたならまだまだ市場はあると言えそうです。

まとめ

日本パレットプールについて調べてみました。

物流2024年問題があるので注目されるのかなと思っていましたが、現時点では市場の注目度は極めて低く不人気です。

実際にパレットが問題解決に貢献するかは現時点ではわかりませんし、これまでの業績推移を見ても大きく状況が変わるようなことは無いのかなという印象です。国から予算がついて補助金が降りるわけでもないですし、国のお墨付きがあるといってもさほど効果が無いのかもしれません。

とはいえ割安なのはそれだけで魅力があるのも事実です。減価償却が終わると利益率も上がってくるでしょうし。

個人的に物流問題は、以前のように安価で早い運送が無くなる。日本国民がそのことに慣れていくのでは、と思ったりしています。今までが異常だった気がするんですよね。仕事に対し適正な報酬と期待を。

ここまで述べてきたことはあくまで貧弱一般人の僕の見解なので、実際に投資を考えている方はご自分で調査・解析を行い自身の判断の元で行ってくださいね。

参考リンク

https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001410732.pdf

物流パレットの話

パレット標準化の実態調査