WICの中から

機構設計者が株式投資や育児に奮闘するblog

【5592】くすりの窓口を調べてみた

今年は色々銘柄を調べているので、頭の整理を兼ねて調べたことをブログに残します。

今回は【5592】くすりの窓口です。個人の接点としては処方箋を薬局に送信するアプリ、「EPARKくすりの窓口」と「EPARKお薬手帳」が有名ですね。好きなタイミングでお薬を貰いに行けるので、僕も良く使っています。

何故この銘柄に注目したのか

  • アプリのユーザーとして使い勝手に満足してる
  • 3Q決算後に暴落していた
  • 暴落してるわりに3Qの成績は悪くなさそうだった

売上高は進捗通り、利益関係は3Q時点でほぼ達成しています。これだけ見ると落ちてる理由が分からなかったので、気になったんですよ。

事業内容

くすりの窓口の事業は大きく3つの領域から成り立っています。

メディア事業は僕も利用している処方箋ネット受付がメインの事業です。薬局からの月額課金と処方箋受付数に応じた手数料収入で稼いでます。

みんなのお薬箱事業は共同仕入れで安く医薬品を仕入れて、それらを各薬局やクリニックに卸す医薬品売買と管理で稼いでます。

基幹システム事業は病院や薬局向けのシステム販売と月額利用料が稼いでいます。

どの事業も初期の導入にかかる売上と月額利用料など継続して得られる売上があり、くすりの窓口では前者をショット売上で後者をストック売上としています。そして継続的なビジネスたるストックを重視しているようです。

直近の業績と24年予想

項目 20/03実績 21/03実績 22/03実績 23/03実績 24/03予想
売上 ¥3,365 ¥5,202 ¥6,489 ¥7,420 ¥8,298
売上成長率 54.59% 24.74% 14.35% 11.83%
構成
メディア ¥1,914 ¥1,718 ¥2,027 ¥2,612 ¥3,117
成長率 -10.24% 17.99% 28.86% 19.33%
みんなのお薬 ¥1,328 ¥2,795 ¥2,987 ¥3,009 ¥3,257
成長率 110.47% 6.87% 0.74% 8.24%
基幹システム ¥123 ¥689 ¥1,475 ¥1,749 ¥1,924
成長率 460.16% 114.08% 18.58% 10.01%
営業利益 ¥715 ¥1,050 ¥1,233
営業利益成長率 46.85% 17.43%
営業利益率 11.02% 14.15% 14.86%
経常利益 ¥815 ¥938 ¥1,178
純利益 ¥515 ¥391 ¥751

全体売上は10%超えで進展しています。ざっと見、12億->10億->9億...と売上の上がり幅自体は縮小している印象です。

営業利益率は昨年実績は14%強、今期は3Q時点で18%弱と高い水準で向上しています。説明資料のFAQでも利益率の伸びには触れられており、ストック売上の原価は固定費が多いためにストック比率が上がるにつれて利益率も上がる構造になっているようです。

セグメント別に見ていくと、「みんなのお薬箱事業」の伸びが鈍化しているところが気になりますね。基幹システムは他2つより規模が小さく伸び率もそれなり。メディア事業がこの表を見る限りでは期待できるイメージです。

予想PERは暴落前で20倍程度、今は19倍弱。別で処方箋機能のあるアプリ(CLINICS)を出している【4480】メドレーが60倍なので、まぁ割安は割安なのかもしれません。メドレーはグッピーズ買収してるし、そもそも処方箋機能はCLINICSの数ある機能の1つだし、他に人材紹介とかやってるので単純比較は出来ないですが...。

表には載せてないのですが、初見でくすりの窓口に不安を覚えたのが自己資本率の低さです。四季報では17.2%程度でした。今回の3Qでは改善して28%程度になっています。「みんなの共同仕入れ」サービスの安定運用のため資産の流動性が必要で、それを借入金などで対応しているのが自己資本率の低さにつながっているのかなと理解しています。ここら辺は利益が積まれていけば自然と改善していくでしょう。

旺盛な企業買収

色々買収しています。詳細は適時開示を見てもらえばなんですが、業績に疑問符が付く会社を買っている印象です。決算資料の説明にも赤字が残ったり黒字化予定だったりとサラッと一筆書かれていますが、ここら辺の詳細は欲しい所です。利益10億規模の中で数千万赤字って小さくないですから。

競合

業績のところで話題に出したメドレーのCLINICS以外にも、処方箋送信アプリ自体は色々出ています。が、ドラッグストアがそれぞれ自分たちの店舗用に出しているのが多く、色んなドラッグストア・薬局を横断して使えるのがくすりの窓口とCLINICSの印象です。
アプリダウンロード数はGoogleストアで見る限りEPARKお薬手帳とCLINICSがともに100万超え。アプリ機能としては前者がお薬手帳を兼ねたりと薬の管理に長けている一方、CLINICSは診療の部分からフォローしていて医療全体を見ている感じでしょうか。

ここら辺は十分に調査したわけではないのでご容赦を。

なぜ暴落した?

で、3Q決算でなんで暴落したかですね。

  • メディア事業/基幹システム事業の進捗が悪い(70%)
  • みんなのお薬箱事業の鈍化
  • 赤字企業の買収

後ろ2つは決算以前に分かっている内容ですが、投資を考えた時に気になってしまったところです。

暴落の理由として大きいのはメディア事業の進捗が悪いからかなと思いました。

ストック売上比率80%とすると年間2,500百万のストック売上が目標で、それからすると1,781百万は進捗71%。業績を見る限り、一番伸びしろがありそうなメディア事業がこの調子なので失望感はありますね。特に成長性が求められるグロース株で、PERも20倍とちょっと高めなので成長に陰りが見えると厳しいのかなと。

ストック比率が上がるにつれて利益面で成長するでしょという見方もあります。が、グロースなのだから売上の規模を広げながら成長してほしい感はありますね。売上が停滞するなか費用削減で利益を捻出するのは、成熟した安定企業の仕草だと思います。

ロックアップ解除

くすりの窓口は上場が2023.10で、半年後の2024.3にロックアップ解除があります。

親会社や会長がやっている投資会社以外だとSBIのファンドが大きく持っています。

大きく売られるのでは...とも思ったのですが、他の銘柄の保有履歴を見る感じでは、それなりに値上がりしないと手放さない様子が伺えます。


https://www.buffett-code.com/shareholder/20580ceb5b57bf37267013b8dc413cbd

くすりの窓口、公募は1,700円だったそうで絶賛割れてるので、まだ売られることは無いですかね?(価格間違っていたので訂正1,750→1,700)

まとめ

くすりの窓口について調べたことを気の向くままに羅列しました。資料関係は企業のIRページから入手しています。

kusurinomadoguchi.co.jp

暴落はしたもののPER的にはそこまで安さを感じる水準でもなく、買収した企業がどうなるか含めて来期の予想をみないとなんだかなーという印象です。無配なので成長している数値とストーリー両方を見せて盛り上げて欲しいですね。

買収にあたりシナジーを謳っていますが、EPARK系のアプリはお薬手帳とくすりの窓口が分かれていたりで、シナジーを発揮するよりカニバってる印象あるんですよね。統合して1つに集約できればいい気がするのですが、分かりやすくシナジーを感じさせてくれるかどうか。

ここまで述べてきたことはあくまで貧弱一般人の僕の見解なので、実際に投資を考えている方はご自分で調査・解析を行い自身の判断の元で行ってくださいね。