ディスプレイ部が折りたためる近未来感への期待から、貸出レビューでの故障報告での「今の技術ってそんなもんだよね」という納得に似た失望で、話題沸騰中のGalaxy Fold。
早くもiFixitがティアダウンを行ってくれました。まだ販売前というのに、仕事が早いですね。
通勤中に見て、あまりにモノづくり感あふれるチャレンジングな設計に震えてしまいました。
僕自身は分解どころか手にとったことすら無いんですが、気になる設計が色々あったので文字に起こしたくなりました。
- 手順3:ディスプレイ間の隙間が衝撃的
- 手順4:閉じた佇まいがイマイチ
- 手順6:電池の上をフレキが縦断
- 手順10:コネクタだけ守る割り切り
- 手順14:SUSの塊と橋渡しFPC
- 手順15:これマジですか?
- 手順16:ヒンジの神秘
- チャレンジングな機種は興味深い
手順3:ディスプレイ間の隙間が衝撃的
ピックで容易にディスプレイを持ち上げて内部に侵入!実際の隙間がどの程度あるのか分かりませんが、これだけで衝撃的です。iFixitの中のひと、写真うまいですね。
周囲を覆ってるベゼルは、ディスプレイの折り曲げしろを確保するために中央で7mm切り欠かれていて、写真を見る限りケアがあまりされていません。たぶんIP4Xの試験で、棒をツンツンすると中に入っちゃうんじゃないでしょうか。動きがある装置で、砂や砂利みたいにFPCを傷つける可能性があるものが中にはいると、怖いんですよね。。
ヒンジの可動部のところもピックが差し込めるくらいの隙間があります。これは、しょうがないでしょう。隙間詰めると金属どおり擦れて、ピカピカの筐体が擦り傷だらけになりますから。動き物は部品精度も、回転軌跡も想定通り出来上がらないものなのですから。
手順4:閉じた佇まいがイマイチ
閉じた時に左右の筐体が平行にならず、ヒンジ側が持ち上がっています。iFixitでも平面に折りたため無いって書かれてますね。
ディスプレイの折り曲げRを確保するためとは思いますが、横から見るとどうしても残念感があります。あと、隙間があると中に物が入れちゃうので、画面に傷が入る可能性があります。内に畳んで画面保護できるって利点にちょいと傷がつきます。
手順6:電池の上をフレキが縦断
BtoBコネクタのフレキが電池を縦断してますね。落下すると重量物である電池が暴れそうですが、コネクタが電池に跳ね上げられそうで怖いです。特にメイン側はコネクタを押さえる部品のネジ締結部が、コネクタから遠そうに見えます。ま、割り切りですか。男前です。
手順10:コネクタだけ守る割り切り
全てのコネクタ周りにクッション性のある両面テープが見られます。ゴミや水の侵入経路が多いのはSamsungも承知で、電源断や表示不良など、使用に影響する重篤なショートだけは避けようという意思が伺えます。
他の、主要な回路はシールド板金の内側でしょうし、外側にある接点バネはアンテナ信号のやり取り程度で、多少ショートしても一瞬通信がおかしくなったりする程度なのかもしれないですね。割り切りは大切です。
ディスプレイ信号が基板に着陸したあと、基板の幅が細そうに見えるところありますが、あの狭いところでパターン通るものなんですね。基板って、パターンってすごいです。神秘です。
手順14:SUSの塊と橋渡しFPC
折りたたみできるディスプレイを外して、秘密のヒンジ部があらわに!とにかくヒンジ部のネジの多さ、そして溶接痕に目が行きますね。
最初はネジ締結だけで行こうとしたものの強度が持たず、自社規格の耐久試験に耐えるまで溶接のポイント数を増やせるだけ増やしていった、みたいな力技感を覚えます。良いですね、非常にモノづくりです。真偽は不明ですが。
他の写真を見る限り雌ねじは筐体材料のアルミ?に直タップしているのではなくて、何らかナットを埋め込んでいるように見えます。そうであれば、強度を大切にしようという意思があるんですね。
左右の基板を橋渡しするフレキが見えます。折りたたみのさなかで不規則に動くフレキを規制しようと、左右ともにピンで固定しています。これで中央部分だけしかフレキが動く余地がなくなり、フレキの動きも予想しやすくなります。しかし、フレキ周辺に金属物が多いですね。写真を見る限りディスプレイ側が板金のダレ面で、フレキ側がバリ面です。バリ取りはしてるでしょうが、可動するフレキの近傍に板金の端があるのは怖いですね。度胸ある設計です。
ディスプレイは、デバイスとフレキの接続部とか制御基板が外側にありますね。開閉の時に掴まれたり、閉じた衝撃がかかる場所です。繰り返し負荷をうけそうで、表示不良が怖いです。
手順15:これマジですか?
Foldみてて一番衝撃的だった、ディスプレイ裏面に板金を貼り付ける驚異の構造。
通常のスマホだとガラスの強度でタッチの圧に耐えるんでしょうが、Foldは表面が柔らかいので、代わりに裏面に剛性ある金属板を貼り付けてリジッド感だしてるんでしょうね。
さておき、板金が真ん中で割れていて端面がディスプレイに対向していて傷つけそうです。板金の厚み的に、バリとりとかそういうレベルじゃないのでは。Samsungほどの大企業が、こんなチャレンジングな構造を採用するとは。
僕も若かりし頃、液晶の裏側に金属の板をぶち込んだ経験があるので、大変親近感を覚えました。
手順16:ヒンジの神秘
ヒンジ部の詳細ですね。Foldの設計で一番難しくて吐きそうなところです。
- 開ききったときのロック
- 回転中心を出す軸
- 両サイドを均等に開くためのギア構造
この3つの機能を別個の機構に分けて実現しています。
同じ回転に関わる構造を、多くの部品で成り立たせているので、部品や組み立て公差による影響があるのではと勘ぐってしまいます。例えば開ききってもロックかかってないバネがあったり、ロックが掛かるタイミングがバラバラで品性が悪かったり、ですとか。 真面目に公差計算を行うと成り立ってなくて、製造法とか選別とかで無理やり作っているのかもしれません。だとしたら、モノづくりですね。
カプトンっぽい黄色いテープ2箇所は、フレキの保護でしょうか。外から入ったゴミが、わりと遮蔽なくフレキに一直線してしまえそうに見えるのは気のせいでしょうか。入ったゴミとフレキが開閉するたびに擦れあって、やがて断線に。なんてのが怖いですね。粉塵環境下での開閉試験動画とか公開して欲しいところです。
チャレンジングな機種は興味深い
興奮してたら結構な文字数になってしまいました。
表示不良の故障モードが多く報告されてますが、表示部の制御やってそうな箇所が開閉時に繰り返し力を受けそうだったり、外部からの異物でフレキが傷つけられそうだったり、確かに懸念点が多い印象を受けました。それにやはり、OLEDそのものがセンシティブな感じがしますね。開閉の負荷で表のプラシートとOLED部で剥離したり、なんてのもありそうです。
Galaxy foldは貸出機の不良率の高さを見てか、発売を延期してしまいました。発売日間近だということを考えると英断でしょう。作ってしまったものは、後からの対策で救えるのでしょうか?
不良モードの原因と対策がどんなものであるかも興味あります。しかしやはり、一度自分で開閉してみたいです。暫定対策でもいいので早く発売までこぎつけ、世の家電量販店でパカパカ出来る日がくるのを楽しみにしています。
こんな記事も書いています。
temcee.hatenablog.com
Fold、絶対3山もかかってないですよね。
temcee.hatenablog.com
自分で分解できるのはこのくらいの価格帯です。。。