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「灼熱カバディ」の凡人へのスポットライトが嬉しい

※ネタバレ有りです。
最近「灼熱カバディ」のコミックを集め始めました。

もともとマンガワンで見ていてストーリーは把握しているものの、読み返したくなる話が多いんですよね。 特にストーリー上は凡人に位置するプレイヤーが活躍する話には心を揺さぶられます。

灼熱カバディとは

カバディを題材とした高校スポーツ漫画です。

サッカーの名手だった主人公はチームメイトとの不和が原因でスポーツから遠ざかっていたものの、カバディ部 副部長の策略もありカバディ部に入部することになります。はじめはネタスポーツと見ていたものの、次第にカバディに本気に取り組むようになっていき、熱を取り戻す、、といったあらすじです。主人公がカバディ素人から始まり、読者も同じ視点でカバディの知識を学ぶことができるので、カバディを知らなくても楽しめます。

スポーツエリートがエリートたる描写がうまく、身体能力だけでなく精神面も天才は違うのだ!とグイグイ読者を納得させてきます。作中に出てくる有力選手達は他と「格」が違うわけですが、一方で天才たちを取り巻く凡人にも多くスポットライトが当てられるのも、この漫画の面白いところですね。

数多く登場する凡人たち、その多様な生き様

天才の周りにいる凡人は、決して届かない才能の壁を前に苦悩します。

プレイヤーとしての負けを認めつつリーダーとして部を盛り上げチームとしての勝利を目指す者。
天才に追いつくためにひたすら練習量をこなしたものの追いつけず心折れ、しかし再起する者。

辿る道はそれぞれですが苦悩しながらもがき、自分の才能と折り合いをつけて、自らの道を進む彼らの姿は、同じく凡人たる僕に強い共感を呼ぶんですよね。

何度でも読み返したくなる副部長の最終攻撃

中でも印象的なのが関東大会のブロック決勝戦、主人公チームの副部長が見せた最終攻撃ですね。

副部長は自身にプレイヤーとしての資質がないことを悟り、自身の練習時間を削ってチーム力の底上げや試合の戦略を練るなど頭脳面で活躍を見せます。司令塔としての敵味方から認められる一方、いちプレイヤーとして見られていないことに鬱屈した思いを抱えている姿は、なりたい姿と自分が働ける場の不一致に悩む凡人には突き刺さります。

そしてブロック決勝戦、主人公チームが負けた状態で、相手チームのタイムアップ戦略に気づいた副部長がとっさの判断で最終攻撃に移り、首の皮一枚でチャンスを繋げます。周囲が頭脳を称えてくれてるとしても、この瞬間は頭ではなく身体が動いた。

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めちゃくちゃに熱い展開です。この後の攻撃の経過も含め、凡人が地道に積み重ねてきた結果が濃縮されていて胸アツです。

心折られるような現実を目にしても、自分のこなせる役割を見つける、それを地道に続けることで報われることがあるんだと勇気付けられます。

まとめ

灼熱カバディ熱が上がっているので紹介してみました。

灼熱カバディでは、短いエピソードの中に各々の核となる考え方と、その要因が散りばめられていて、それが故に脇役にも深いキャラクター造形を感じさせてくれます。凡人だって物語の脇にいる単なるモブではなく、きちんとした人格が与えられていてスポットライトを浴びることがあるんです。

近年はネットの普及で世間にいる天才たちの活躍がいやでも入ってきます。それだけでなく、僕みたいに30半ばになってくると社会的ステータスの差に開きが見えてきて、意識してしまうものです。自分はどこまでも凡人なんだなと凹んでしまう時、自分の道を見つけてもがく凡人達の活躍を読み返し、熱を取り戻すのです。

明日もお仕事、ガンバルゾー。