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WICの中から

機構設計者が株式投資や育児に奮闘するblog

EUを離脱したイギリスの価値観

時事

接戦だったイギリスのEU離脱をめぐる国民選挙は、離脱派の勝利に終わった。これを受けてポンド、ユーロともに売りに売られ、受け入れ先として現世界最強通貨である日本円が買われた。結果として円高・株安が歴史的な進み方を見せ、僕のポートフォリオも紅に染まった。これについては、この土日にいつものポートフォリオ晒しでお話しよう。

 

EU離脱のモチベーションで良く目にしたのは移民受け入れに伴う様々な不都合だ。仕事を奪われる、社会保障に金がかかる、治安の悪化…などなど。それに対し残留派はEUを離脱することによる経済的な損失を大々的にキャンペーンしていたように思う。海外企業の撤退や関税の障壁や通貨安による内需の収縮などもあるだろうか、しかしそれらのキャンペーンはついに離脱派には響かなかった。
 
離脱派は経済的弱者や年寄りが多いと目にしたことがある。それらの人にとっては国としての全体的かつ将来的な利益より自身の刹那的な利益の方が大切なのかもしれない。国が栄えても自分たちが下層では意味が無い。自分が、自分が…離脱派はそのようなエゴイズムに支配された愚かな人たちだ、と吐き捨てるのは容易だし、自然かもしれない。しかし経済合理性だけでこの問題が説明できるのかな、とも思う。
 
イギリスはEUに属していてもポンドを使い続け、EU域内を自由に行き来できるシェンゲン協定にも参加していなかった。EUは経済的なものだとは思うけれど、単一通貨や域内の自由化などは価値観をも近似させていくものでもあるだろう。それらに加入しなかったイギリスという国は自国というものへの誇りが群を抜いて強い国だったのかもしれない。なんたってグレートブリテンだ。
 
人は自分に誇るものがなければ自分の属する集団に誇りを求める。家族、親戚、友達、会社…自分の世界が狭ければ狭いほど誇るための集団は大きくなっていき、最終的には国に収束する。経済弱者の多い離脱派のモチベーションに国の主権への誇りがあったとすれば、そういう考え方もある。この見方は離脱派に対して失礼な見方なのだけど、僕はそういう考え方をしてしまう。僕は田舎を捨て狂った街、東京で経済的優位を得るために日々あくせく働いている経済合理性側の人間だからだ。経済合理的に見れば今回のEU離脱は全く合理的でない、迷惑なものでしかない。
 
しかし僕はイギリス人ではないし、彼らが自分の国、歴史に持っている誇りの重さを知るよしもない。そして忙しく働いていると見失いがちだが、この世の価値観は経済が主流ではあるけど、それがすべてでもない。
 
今回の件やアメリカでのトランプ人気などは経済合理性から外れたものだ、弱者のやっかみだ。しかしそれらは現実を動かすだけの力を持ち始め、個人主義、民族主義が流行る兆しが見えてきた。今後もこの動きは加速するかもしれない。特に歴史が長く世界的に力を持っていた国なんかでね。
 
ま、来週からどのような動きになるかはわからないし、そんな心配してもしょうがない。僕はせっかくの花金を楽しむとしよう。