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「ワークマンはなぜ2倍売れたのか」キーワードはデータと善意

ワークマンの経営がすごいぞと聞いて興味を持ったので、ワークマン本こと「ワークマンはなぜ2倍売れたのか」を読みました。

ワークマンといえば一般向けの新業態ワークマンプラスがウケて、最近流行ってますよね。本著はそのワークマンプラスの仕掛け人である土屋専務を物語の中心に据え、ワークマンがいかに今の体制を築き上げてきたかをドラスティックに描いています。

標準化を土台にデータと善意で躍進

ワークマンプラスの成功に大きく貢献したのがデータと善意であると書籍からは読み取れるのですが、以前のワークマンが土台にあったからこそできたことなのかなともお思いました。

もともとワークマンはオペレーションに長けていて、店作りや商品仕様について標準化が図られていました。その前提があるからこそ、きれいなデータが集められる。マニュアル化され属人的な仕事がなく、頑張らなくても成果が出せるから新しいことへの仕込みができたと土屋専務のコメントもありましたね。

データは使うために集める

ワークマンプラスの出店にあたり土屋専務がこだわったのがデータ経営です。新入社員は実店舗の店長となり、データの使い方を学びながら売り場の改善を経験していきます。その後、本部勤務になってからもデータの使い方を学び続ける体制ができており、また出世の要件にもデータを高度に扱えることが要件となっているそうです。

一部の部署・職責だけにデータへの強さを求めるのではなく、全体のリテラシーの向上を目指している辺りに、データ経営に対する本気度が垣間見えます。

またデータを活用する段だけでなく、データを取得することについても意識されているのが素晴らしいですね。
同時期に、タイプの異なる店を出店して売上差分のデータを取りにいくとのお話がありました。積極的に実験して最適を見極めていく…それなりの規模の会社が、その姿勢を継続させているのは結構しんどいように思うのですが、そこをやり遂げての今があるのだなと考えさせられました。

善意のサプライチェーンとフランチャイズ

データに続くキーワードは善意、納品数をメーカーが決める(ワークマンが無条件で買い取る)、フランチャイズを儲けさせる。などですね。フランチャイズについてはコンビニのフランチャイズを大々的にディスっててクスッと来ました。

サプライチェーンについて、複数の小売に卸すメーカーの方が情報優位だとしたうえで、社内の情報をメーカーに開示して納品数をメーカーに決めてもらっているそうです。何も言わず買い取ってくれると聞くと善意的な感じがする一方、売れ行きの予想という難しい業務をメーカーに投げているとも取れ、ここは実際に取引されているメーカーさんの意見を聞いてみていところではあります。

まとめ

ワークマン本を読んで感じたことをつらつら書きました。

ビジネス本ですが、構成的に土屋専務がワークマンを一新して大成功させる物語を綴った小説のようにも読め、なかなか楽しい書籍でもあります。

一方、きれいなところしか見せてないなとも感じました。自分もハードウェアに関わる仕事をしているのですが、データだけで、善意だけですべてが上手くいく世界ではないです。業界は違いますが、メーカーとお金のやり取りをする時は、まるで●クザの強面おじさん vs 腹の読めぬタヌキおじさん、みたいな感じでハードなやり取りをバチバチやってますし、製品開発はデータだけにすべてを頼れないところもあります。きっとワークマンもデータや善意で成り立っているところもありつつ、お金やモノにまつわる泥沼を乗り越えていることでしょう。

個人的にはそういう清濁併せ呑んだような書籍を読んでみたいですが、、怪文書になっちゃいそうですね。