WICの中から

機構設計者が株式投資や育児に奮闘するblog

【製品開発】仕様変更を食らったので、なぜ開発途中で仕様が変わるのか考えてみる

食らってしまいました、仕様変更。構想設計からぼちぼち詳細検討に入らなきゃな、って時期に、インパクト大きめな変更です。
今日はもう解散!直近の仕事のことは忘れて、明日からがんばろーってモードです。

突然ガラッと仕様が変わったり、開発中止を食らったりすることが、製品開発やってると時折あります。企画の人たちも色々なデータを元に仕様を決定しているはずなんですが、なんで方針が途中で変わってしまうんでしょうね。

開発中止・仕様変更の当事者かつ、連敗記録を更新している身として、考察してみました。

仕様変更は「売れない」から

なぜ仕様が変わるのか?それは、そのままだと「売れない」と判断されたからです。
そんなこと言っても、データや流行を踏まえて「売れる製品」を企画したんでしょ?企画無能か?と、言いたいところですが、「売れない」という判断に至る理由は様々で、「企画の責任」の一言で済ませられないこともあります。

「売れない」と判断される理由、僕が見てきた限りでは次の3つに大別できます。

  • ゲームチェンジャーの登場
  • 夢から現実に覚める時
  • ターゲット無き企画の清算

ゲームチェンジャーの登場

既存のビジネスを破壊するほどの新規プレイヤー(製品・サービス)を、ゲームチェンジャーと呼びます。具体的には林檎のiPhoneに駆逐されたガラケー市場とかAmazonにとってかわられたローカルの書店とかですね。

例に挙げたほどのインパクトを持つゲームチェンジャーはまれですが、市場のトレンドを変える力を持ったプレイヤーはしばしば現れます。デザインだったり、コストパフォーマンスだったり。

企画の前提となるマーケットが変わってしまうと、変化前に考えた企画は発売前に陳腐化してしまいます。こうなると、世に出しても売れないのは火を見るよりも明らかです。

個人的にはゲームチェンジャーに負けない企画を考えてくれよ、というのが本音ですが、世の中を変える製品をポンポン考えろってのもキツイ話だとは思います。なので、ゲームチェンジャーによる仕様変更は、個人的にはしょうがないかなと考えています。(過去、自社製品に食われたて仕様変えたときは「おいおい…」とも思いましたが)

夢から現実に覚める時

企画する時って、夢を見ちゃうものなんですよ。
新しい機能と新体験!小型!それでいてお手頃な価格!売れる!とね。
問題は、それを実現するための技術は夢でなく非情な現実なんですよね。

主に企画と開発部門のコミュニケーションが不十分だったり、企画部門が暴走したまま進んでしまうと、どこかの段階で現実を直視させられるタイミングが来ます。金型を作る前の机上計算が第一のタイミングで、第二が試作品が出来上がるタイミングですね。

このあたりのタイミングで仕切り直しがあれば救いもあるんですが…「まだやれるはずだ」と、根拠なくGoが出て量産寸前まで行ってしまうパターンもあります。その時は地獄…この話は、またの機会にしましょう。

このパターンは暴走しちゃう企画も悪いですが、手綱を握れない開発部門にも責任はあるかなーと思います。「出来ない」は開発者が口にしたくない言葉ランキング上位かと思いますが、それでもNoなものはNoといっておかないと、です。

勇気が持てないときは、論理に支えてもらうといいですよ。

temcee.hatenablog.com

フフフ…。

ターゲット無き企画の清算

誰に売りたいのか、どこを尖らせたいのか。たまーに、製品の核というのがボヤけた企画が出てきます。

優先するものが無いと、切り捨てることも出来ないものです。ガラケー時代に「全部盛り」って良くみましたよね。あれがいい例です。ターゲットが分からないから全部入れておけ、ってやつですね。

顧客側から見ても「全部盛り」は無い、と感じる人は多かったんじゃないでしょうか。盛りすぎるとサイズや基本動作が犠牲になるんですよね。

で、もちろん社内でも「この企画は何がやりたいんだっけ」となるわけで。そうなると一旦開発を止めて、最初のところから練り直し…となるわけです。

このパターンは残念なやつですね。仕様変更を食らった後は、企画への不満しかでてこない感じです。

まとめ

「このまま進んで、世に出てたらどうなったのかな」

そう思うことも、結構あるんですよね。 これはサンクコストに引きずられた判断なのかもしれないですが、製品って世に出すまで分からないことが多々あると思うんですよ。

お金が潤沢にあれば失敗覚悟で世に出して、失敗体験として詰んでいけるんでしょうか。それとも、特に得るものもなく損失だけ増えてしまうのか。

開発してる側としては、せっかく検討したものが世に出ないのは結構ツライものです。そろそろスムーズに、世の中に製品を送り出したいのですが…いつになることやら。