CAE(構造解析)において、自分がきちんと理解せずに準静解析を行っていたので、反省を込めたメモを投稿します。
静解析を動的に解く準静解析
じんわり荷重がかかる、慣性の影響を考慮しない構造解析を静解析といいます。
静解析において、材料なり構造なりで非線形的な動きを解く場合は、ニュートン-ラプソン法による反復計算が行われます。この解析は解の厳密性が高い一方、収束解が得られないこともあります。複雑な構造になってくると、計算時間もかかります。
そんなわけで部品点数の多い静的問題については、動的問題に置き換え、動的陽解法で解くこともあります。こういう解析は準静解析とも言われます。
準静解析は解の厳密性は静解析に劣るものの、収束計算を行わないために計算が早く、解を得やすいです。
慣性力による振動と、静的解の判断基準
そんなわけでアセンブリ状態の複雑な構造を解析するときは準静解析で、新規構造の妥当性を旧構造と相対比較することが多いわけです。が、動的に問題を解くと慣性の影響を受けます。コレが要因で、変形に振動の挙動が現れます。
振動の影響は、ひずみエネルギーに対する運動エネルギーの大きさで判断することができます。
運動エネルギーが十分に小さければ静的な解として見れる、そうでなければ慣性項の影響が強く静的な解として使えない、というわけです。
振動の影響を除去する方法
解が振動して静解析の結果として使えない場合、次の方法で改善をはかります。
- 解析の現象時間を増やす
- 振動する解の中心を推測する
前者は振動が収束するよう、解析における時間を長く取ります。この場合、計算時間も伸びます。
後者は、振動の中心に解は収束していくことになるので、振動の様子をグラフ化して、中心を追うことで擬似的に収束解を得る試みです。
まとめ
ここに書いたことですが、解析してて思ったような結果にならなかったことから調べてみて判明しました。技術が発展してきてツールとしてのCAEの使い勝手は向上してきていますが、その背後に「何を解析しているか」を知らずに使えてしまうわけで。その怖さを改めて突きつけられたように思います。
CAEの理論は数式ばかりで難しく、設計者がそこまでフォローするのも違うかなと思う一方、それぞれの解析のメリット・デメリットくらいは、きちんと把握しなきゃダメですね。そのあたりがまとまってる書籍なりネット記事なりがあると助かるのですが。。