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Nespresso pixieを分解すると、なかなかヤンチャな設計だった

nespresso pixie 分解

最近、ネスプレッソの水漏れが気になります。
カプセルの収まりが悪かったかなー、排水受け皿ずれてたかなー。そう思って真面目にチェックしてみたところ、どうも筐体の隙間から漏れ出てました。

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内部劣化による水漏れが疑われます。素直に買い換える時期だ、と言われているようではありますが、もしかしたらちょちょっとシーリングすれば直せたりするのかもしれません。どんな劣化状況か見てみないことには判断できないので、一度分解してみることにしました。

※本筋入る前に警告です。メーカー的には分解はNGです。説明書にも下記のように書いてますし、おそらく保証の対象外になります。

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サイドパネル取り外し

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まず最初は、あからさまに見えているネジを外していきます。はずせるネジはすべて外す、分解する時の基本です。

ネジはプラスでもマイナスでもない星型の溝が切ってあります。トルクスですかね。大型のトルクスを持ってる人はなかなかいないかと思いますが、マイナスドライバーでも引っかかれば使えます。ネジ頭をなめないように注意。自分は、三角穴用のドライバーがぴったり合ったので、問題なく緩められました。

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底面側のネジ(左側)は頻繁に水にさらされていたのか、白サビができています。お労しや…。

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パネルには各辺に2個ずつツメがかかっております。結構固めです。底面側から開けていくのがオススメ。

小部品・ハンドルの取り外し

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ネジを緩め、サクッとハンドル部分を取り外します。ネジはパネルのものと長さが違うので混入注意。

そしてこれからが、ヤンチャなツメ固定劇場の始まりです!

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まずは初級編、天面は差し込み、背面には引っ掛けツメ2つ。まだ優しい。

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電源ケーブルの固定パーツも樹脂バネになってます。テコの原理でがんばります

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電源のコネクタを引っこ抜きます。できるだけ根本を持って、慎重に。その奥に、LEDの光を導光する部品があり、取り外します。これもツメ固定です。

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底面に移り給水タンクの底面。ここの外側にも1枚カバーがあります。ツメ4箇所で、鬼のように硬いです。僕は一本折りました。

サイドカバーの取り外し

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はい、激戦を省略して取り外したカバーを見てみましょう。ツメ!ツメ!ツメ!馬鹿じゃないの!?

どのツメも鬼のような嵌合です。カバーの合わせ箇所を全力で広げ、空いた僅かな隙間にギターのピックをねじ込み、こじ開けながら、ツメを外していく…と地道な作業をひたすら続けていきます。全辺にツメがあるので、他のツメと格闘しているうちに外したツメが戻ったり…色々ありました。

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手加減はできませんでした。

内見

正直、漏水ルートは明らかでした。

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皆さん気づきましたかねー?そう、ここに水のあとがあるんですよ。

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このバルブっぽいところが、原因ですね。

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バルブと書いていますが、電気的な線がある訳でもなく、動作する感じではないです。何のためにあるんだろ…。
思うに、ポンプからボイラーに直でつなぐと、ポンプの水圧がボイラの入り口に集中して、熱湯が漏れたり、漏れた水が電気系に至ってショートしたりするのかもしれません。
それを避けるために、違う箇所に水圧を吸収するようなところを設けておいて、そこをリジッドに防水してる、とか。

この状態で普通のお湯を出しても、水は大丈夫でした。おそらくカプセルを入れて、抽出により水圧が上がることで漏れやすくなるのかもしれません。

設計としても、なんとなく水のルートを意識したような形になってますし、ある程度の漏れを見込んだ筐体設計なのかもしれません。

無理やりシーリングするんじゃなくて、珪藻土マットみたいなのひいて運用するほうがいいかもですね。。

おまけ

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サイドカバーはABS、成形したのは15年3月です。5年選手ですねー。 プラスチックの材料表記は、重量100g以上が対象、25g以上は推奨。だったかな。リサイクル系の規格で決まってたと思います。

まとめ

ツメばかりで分解しにくい、なんじゃこりゃ!な、ネスプレッソの分解記事でした。

僕もちょくちょくツメを使った固定はしますが、メイン固定をほぼツメに頼って、ネジは飾りにしか使わないってヤンチャすぎじゃないですかね。

ツメは嵌まると気持ちいいし、部品も増えない点ではいいのですが、圧倒的に分解しにくいんですよね…壊れるし。

昨今の製品はデザイン重視で、ネジを極力見せない、見せるにしてもデザイン的なネジにする傾向にあります。(わざと大きくしてポップに見せたり、みたいな)
見て使う分にはそれでもいいんですが、圧倒的に分解しにくくて、壊れた時のリペア性悪いんですよね。

壊れたら直さずに新しいの買えばいいじゃん!そういう意見も、あるでしょう。ただ、環境問題が叫ばれて久しいです。声もどんどん大きくなってきてます。となると、修理しながら長く使えるものにも、それはそれで存在価値があると思うんですよね。

分解の参考にした動画

分解は、動画の方が分かりやすいですね。

https://www.youtube.com/watch?v=3hCBWG5VTKI&feature=youtu.be

https://www.youtube.com/watch?v=fkR5Fz91LHI&t=207s

(3/13追記)バルブのようなものの正体

@furuta_furutaさんより、ネスプレッソのパーツを取り扱っているサイトを教えていただきました。ありがとうございます!

サイトの説明によるとREGULATOR、つまり水圧を調整する部品だったみたいです。水漏れは、高まった水圧を逃がした結果置きたものなんでしょうね。

https://coffeemachineparts.com.au/index.php/coffee-machine-parts/nespresso-spare-parts/nespresso-en125-pixie-spare-parts

こんな記事も書いています。

temcee.hatenablog.com

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