サードパーティのカプセルを暴発させてネスプレッソから無限にコーヒー豆が出てくるようになりました。
年末に差し掛かり、昔の豆を抱えたまま年を越すのもイヤだったので、湯垢洗浄すればネスプレッソ内の豆も一掃できるだろうと根拠ない思いつきで、ネスプレッソの純正洗浄剤を購入。しかし困ったことに洗浄剤に湯垢洗浄の方法は載っておらず、本体の紙マニュアルを取り出すのも手間だったので、ネットの公式の動画マニュアルを見ながら洗浄しました。
で、その動画を見ながらの洗浄ってなかなかに手間だったんですよ。動画って、わかりやすそうに見えて、マニュアル用途だとイマイチなんですよね。大人しくネスプレッソマシンの紙マニュアルを見ながら作業するべきでした。やはりマニュアルは読み物という姿が最良です。
検索性の悪さ
動画マニュアルで致命的なのが検索性の悪さです。
ネスプレッソの動画マニュアルは全体で3分20秒くらいですか、最初の方は洗浄頻度の話だったり、洗浄剤の話だったり、カプセルを取り除こう！みたいな当たり前の話から始まります。洗浄する気満々の人は、まずここで一度出鼻をくじかれます。「そんなの分かってるから、先に行ってくれよ」
それで動画を飛ばそうとするも、どこまで飛ばしていいか分からない。適当なところから再生すると行き過ぎで、もうちょっと戻って再生して…時間のロスとストレスの蓄積が起こるわけです。
こうした検索性の悪さは見返す際にも問題になります。「洗浄液と普通の水の割合はいくつだったかな？」という一点だけを知りたい時に、そのことに触れている数秒間を探し出さないといけないわけで、これは本当に手間です。
時間当たりの"情報量"の薄さ
動画マニュアルは進行速度が制作側に管理されています。で、制作側はついてこれない人が出ないよう、のんびり進行で作るんですよね。結果、大抵の人にとって遅いと感じる動画マニュアルが出来上がるわけです。
結果、次々と進みたいのに、動画の説明が追い付かずいちいちストップを余儀なくされます。「排水すすいだり、お湯を抽出するシーンなんていらないよ」なんてモヤモヤを抱えながら、です。
紙やPDFのような1枚もの静止画だと俯瞰性があるので、パッと見で作業の全体像を把握し、詳細知りたいところだけフィーチャーして確認することが出来ます。動画マニュアルで機器のボタンを押してお湯が出ているのをボーッと見ている数秒間で、静止画だと作業の大まかな肝を知れるわけです。
この情報密度の薄さも、検索性と並んで動画が致命的にマニュアルに向いてないところかと思います。
読み込みが遅い
回線の問題でもありますが、動画は静止画やテキストに比べて容量が大きいです。
飛ばし飛ばしで進めたいと思っても、読み込みで時間を食われるんですよね。紙や、PDFだったら一瞬で開けて、確認に移れるわけです。従量課金の回線だと、ギガが食われるのも痛いところです。
まとめ~動画マニュアルの存在意義~
動画はマニュアルに向いてないよ、というお話をしました。
マニュアルに必要なものって、作業内容だけを的確に伝えて即行動に移させることだと思うんですよね。動画はその点、余計な容量をたくさん抱えており無駄が多いです。印象のようなぼんやりした物を伝えるには、動画が良いと思うんですがね。
そんな動画マニュアルの存在意義は、音声があることでしょうか。目が見えない人に向けて音声で説明をする。これは紙や静止画ではできないことです。ただ、そうでない人にとっては画像・テキストでの説明の方が何かと都合がいいですし、作る方としても楽です。
自分も昔、工場作業者向けに組立アニメーションみたいなのを作ってた時期がありました。作るのは結構楽しかったのですが、工数はかかる上に実際の作業ラインに行くと、必要なところだけ画像にして印刷して、ラインに貼り付けてあるんですよね。
常にモノを組み立てる必要があるラインでは、悠長にアニメーションを流している時間は無いですし、「このシートの貼り付け基準どこだっけ？」「この部品はどう組付けられていればNGだっけ」みたいな、ジャスト1点の確認をしたいときに見つけるのが面倒なんですよね。
Web上の教育、e-learningでも個人的には同じ理由で動画はやめて欲しいなーと思うのですが、なかなか無くなりません。もしかして、物を伝えるのに静止画がいいと考える僕は、少数派だったりするのでしょうか。
自作キーボードに興味を持ったきっかけは動画でした。「なんとなく面白そう、カッコいい」ってぼんやりした物は、動画の方が入ってきますね。
