WICの中から

機構設計者が株式投資や育児に奮闘するblog

ルールもツールも、作るより普及させる方が大変

CADを使っている人なら分かると思うが、モデリングルールのない環境で各々が好き勝手にモデリングをすると極めてカオス度が高いモデルが出来上がる。

単に各自が好き勝手やった複数のモデルが存在するだけではない。実設計において前のモデルの流用から設計検討に入る人が多いのだ。それが何世代も続くと、複数のモデリング嗜好がキメラ化した誰にとっても有り難くないデータが出来てしまう。だからモデリングもある程度足並みをそろえる必要がある、そのためのモデリングルールは必要だ。

そんなわけで趣味と仕事の合間でモデリングルール策定してみたものの、なかなか順守されない。何故か。見られないからだ。

モデリングルールと同じノリで設計にもルールがある。そうしたルールが積み上がり、面倒くさくて読まれないのだ。

とはいえモデリングルールは守ってもらいたい。

データのクローンが出来ないと相談され、調べてみると1つの部品に数世代にわたる数多のデータ参照が紐づき、解析に悩まされた時に強く思ったものだ。

ルールの普及をどうすれば良いかを考えてみる。

メールやチャットを使った全体通知は効果が今一つだ。全体通知は本当に読まれない。万一メールを読んでくれる人がいたとして、メールからルールに飛んで資料を確認してくれる聖人は±3σ内にはいないだろう。

だから結局は直接言葉にして通知する必要がある。対面でもオンラインでもいいから、会議の場で話題に出す。モデリングの始まりたるプロジェクトの発足を感知すると、対象のメンバーに説明会を行う。何度も何度も地道に繰り返すことで少しずつ浸透していく。草の根活動だ。

個人的嗜好の問題かもしれないが、ルールを作る事自体はそれほど負担感は無い。汚い履歴はキレイにしたいし、データが汚いことに起因するエラーが減れば問い合わせも減る。どういうルールならキレイな履歴が作れるかを考えるのは楽しい作業だ。

一方で普及の草の根活動はひたすら虚無だ。通知し、時にデータを巡回して指摘して直していく。管理者権限を利用して自分でデータいじった方が絶対に早いよなと思いつつ、きちんと説明して直してもらう。人にやってもらわないといけないのが、何よりもどかしい。

ここで話した内容はルールだけでもなくツールにも言える。日々の雑事の負担を減らすために導入したツールも、作るより使ってもらうまでが大変だ。

このあたりの「人に何かをしてもらう習慣」をどうつければいいのか、僕はまだ全然わからない。