WICの中から

機構設計者が株式投資や育児に奮闘するblog

日本で設計を行う意義ってなんだろう?

防水設計。それがひと昔まえの、日本で設計を行う意義だった。

防水設計は単にパッキンや両面テープで止水する構造だけを指すわけではない。防水が担保できる各部品の公差の積み方、部品の管理の仕方、アセンブリ後の検査の方法。そういったもの全部を合わせたものだ。単なる理論だけでなく現場や市場から得られたノウハウが詰まったものだ。

だけど、時代は変わった。今では多くの国、メーカーで防水設計は行われている。リバースエンジニアリングによるものか、地道に研究したのか、転職者からノウハウを吸収したのか。なんにせよ、防水設計の陳腐化した。僕にとっての、日本で設計する意義は失われた。

日本は長らく停滞してるとはいえ、僕ら日本人設計者の単価は世界的には高い方だ。であれば、僕たちが設計するものは他の地域では出せない、なんらかの付加価値が無くてはいけない。僕たちには何があるのか。

自他共にパッと思いつくのは品質だ。外国メーカー製品を見ていると、細かいところの品質では勝っている。こちらのほうが丁寧なモノづくりをしている、とは感じる。しかしそこにどれほどの価値があるのか。細かいところの品質に気が付ける人がどのくらいいるだろう?それよりも、もっと目立つところを尖らせた方がいいのではないか。

品質を高くすればするほど、多くの設計検証が必要になり工数とお金がかかる。部品品質を引き締めて歩留まりが悪化する。検査工数と設備も必要だ。これらの負担に見合うだけのリターンが、いまの日本と外国メーカーの品質差から得られるだろうか。この点、僕は疑問だ。

そして再びここに戻ってくる。日本で設計を行う意義ってなんだろう?

「日本語が分かる」「日本の風土が分かる」「日本人の気性が分かる」と、日本に特化したことしか出てこない。ユーザーを知るのは設計を行う上で大切な要素ではあるが、うーん。技術的なものが、無い。世界に通用するものでも無い。

どういう方向に伸びしろがあるか。ニッチでもいいから、何か意義を見つけなければ。そんなことを思う、今日この頃です。