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購入から8年かけて「レ・ミゼラブル」を読み終えました

長らく「レ・ミゼラブル」を積読にしていました。
若かりし頃に購入して読み、「結構読んだなー、どのくらい進んだかな?」とKindleの読書進捗を見ると2%しか進んでおらず心が折れてました。

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それから手を付けないまま8年が過ぎていたんですが、積読になっていることが心のなかで気にかかっており、ちょうど久々に小説を読みたい気分になったので再開してみました。

貧しきもの、哀れな人々の悲惨さ

物語は1本のパンを盗んだことから19年もの監獄生活を送ることになったジャン・ヴァルジャンの生涯が描かれています。世のすべてを憎んでいたジャン・ヴァルジャンがミリエル司教に救われ誠実な人間であろうとし、自分の立場と誠実さを天秤にかけられる場面で何度も苦悩する。最初は読者たる僕には共感できない憎悪を抱いていたジャン・ヴァルジャンが次第に共感できるようになり、ついにはより高く、崇高な精神へと昇華していく一大のヒューマン・ドラマといったところでしょうか。

タイトル通り、時代背景もあるのか作中では下層を生きる人々の姿が多く描写されています。一度落ち始めると容易には登れない、社会のセーフティネットから抜け落ちてしまう人たち。今日の日本ではそこまで悲惨に落ちるまでの貧困は一般的なものではないものの、金銭的余裕を持つことの大切さを痛感させられます。特に子供が絡む描写は、僕も人の親なので胸に来ました。仕事を得るために子供と別れなければ行けない母親、預かり先で酷い仕打ちを受ける子供、ロクでもない親もとに生まれ浮浪児となり家も持たない子どもたち…

仕事は嫌な思いをすること多いですけど、子供に惨めな思いをさせないためにもきちんと稼いで衣食住を安定させてやらないとな、と何度も決意したものです。

多く長い横道

一度心を折られた本の長さは、この本の横道の多さにあります。

ワーテルローの戦い、修道院、隠語、パリの下水道...余談は唐突に始まり、それ単体で1冊の本になるのではと思われるほど続きます。正直に言うと結構読み飛ばしました。ストーリーを楽しみたいのであって、フランスの風俗について勉強したかったわけでもなく...完璧を目指して断念するより、多少飛ばして読了するほうが良いだろうということで。

また人物のセリフも時々助長な、演説のような長セリフが始まったりもします。これも横道と同じく読み飛ばしてます。完璧な読了を目指すのは社会人の身では難しい。

ジョジョ1部との類似点

ジョジョ1部で似たようなシーンが有ったなと、ちょくちょく気になりました。ミリエル司教の銀の食器を盗んだジャン・ヴァルジャンを「それは私があげた物だ」と救うシーンや、悪漢テナルディエがワーテルロー戦い後に戦士した軍人から遺品を盗んでいるところをポンメルシー大佐が助けてもらったと勘違いするシーンなど。

5部主人公ジョルノの好きな物語が「レ・ミゼラブル」ですし、意外と積極的に元ネタとして使っているのかもしれないですね。色んな著書の元ネタに触れられるのも、古い名著を読む利点なのかもしれません。

まとめ

レ・ミゼラブルを8年足掛けで読了しました。名著と呼ばれるのも頷ける、心揺さぶられるお話でした。ラストシーン、ジャン・ヴァルジャン的には幸福だったのかもしれないですが、【1流の悲劇より3流のハッピーエンド】主義者の僕としては、最後くらいは数奇な運命から脱した日々を送ってほしかったな。

読み終えてみて、昔からの宿題を終えたような晴れ晴れした気持ちです。やりきった感があふれる~。

実はまだまだ積読本はあるのですが...なにかの折に消化しつつ、増やさないように気をつけたいですね。

レ・ミゼラブル

レ・ミゼラブル