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恩師の最終講義を受けてきました

僕の出身研究室の教授が今年で定年退職されるということで、最終講義を受けに行ってきました。最終講義自体はキャンパスの一室ではなく外部の記念ホール的なところで行われたのですが、せっかく大学の近くまでいくことだし、ということで数年ぶりに大学内や周辺を見て回ったりしました。

大学への久々の訪問、友人たちとの再会、恩師の最後の講義。どれもが印象的なイベントであり、色々思うところがあったので書き残しておこうと思います。話したい順に書きなぐります。前半は最終講義を受けての所感、中盤は久々に会った同期と話しての所感、後半は写真多めの母校訪問についてです。全部読むと長いので、興味があるところだけ目次から飛んでもらえればと存じます。

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最終講義に臨む服装・装備

・スーツ(派手すぎないストライプのもの)
・α6000(with Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA SEL55F18Z)
・Theta S
・メモ帖

最終講義ってフォーマルなイベントなのでスーツで行きました。この選択は正しく、大体のひとがスーツ、もしくはビジネスカジュアルといった服装でした。

カメラについては大学周辺を撮って歩きたかったのでα6000を、せっかくだからキットレンズよりもいいものがいいなということで単焦点55mmを持っていきました。この選択は完全に間違いで、フルサイズ用レンズのため望遠側に寄りすぎ、使うのが難しかったです。大学構内で学生たちが歩いている中、バタバタ移動するのも恥ずかしく、結果としてほとんど使いませんでした。

Thetaは講義とかそのあとのパーティの雰囲気を残すために使用しました。こちらは良い感じに雰囲気を残せましたし、友人たちとの話のネタにもなって良かったです。それにしてもThetaって今はもう結構メジャーなものだと思うんですが、まだ世間的にはそれほど広く知られてないんですかね。

恩師の最終講義

最終講義は恩師の学者人生の総括といった内容でした。学生から教授になるまでに配属された研究室、お世話になった方々、携わった研究の紹介、教授として為したお仕事、などなどです。その中で2つほど印象に残ったものがあります。

学問畑は修羅の国

改めて感じたのは、本当に頭が良くて研究が好きな人じゃないと研究畑は歩めないな、ということです。

僕の専門領域は非線形力学です。世の中の現象の大半は比例的な振る舞いをするのではなく、何らかのきっかけを経て急激に変化が起こります。例えば鋼を引っ張って2つに破断するまでの振る舞いです。力を加えていくと、突然ひずみが大きくなったり、変形の挙動が変わったりします。こういった変化がどういったメカニズムで起きているのか、それを研究するのが非線形力学という領域です。

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(引用元:8.応力ひずみ線図|材料力学)

上の例は目に見える物理現象であり想像に易いですが、扱う対象が目に見えない流体だったりミクロの世界になってくると、難易度は急激に上がります。そんな領域の現象に対して数式で仮説をたてて検証実験を繰り返していく、そんなことを業として数十年も続けられるというのは尋常ではありません。

教授に限らず学問の道を行く人は、自分の観測範囲では並外れた頭をしている人ばかりです。かつての自分がそんな人たち一緒に研究をしていたことは誇らしいことだし、得難い人生経験だったと思います。

今の学生のメンタルの弱さ

恩師の講義にて最近の学生のメンタルヘルスに対するお話が出てきました。曰く、「昔はメンタル不調になる学生はいなかった。最近の学生は真面目で、いろいろなものに追われているのかもしれません。」最近の学生を真面目、と称していますが、そこには『学歴としての大学』だけを求めて、受験テクニックを駆使して入試を乗り越えてくる学生に対しての複雑な思いがあったのかなと思います。

恩師の話を聞く限り、昔の学生は自由奔放で、頭が切れて、研究や学問に熱心だったようです。当時は受験のテクニックがあまり発達しておらず、大学とは才気と熱意(とお金)が揃った一種の超人が行くところだったのかなと思います。

dot.asahi.com

こういった記事を最近よく目にしますが、受験はゴールではありません。受験テクニックを『真面目』に駆使して入学までこぎつけても、その後にはさらに難易度の高い学問が待っています。受験テクニックはその後の学習にも応用できるのか、そもそも学習のための熱意をキープできるのか、考えさせられました。

研究室同期の悲喜交々

同期と久々に会いました。おそらくは僕の結婚式以来で、年単位ぶりの顔合わせです。みんな30歳を超えて進路に幅がでてきました。順調に出世街道を歩んでいるものがいれば、会社から部署が切り離された末に転職したものもいます。結婚して子供が複数いるものがいれば、独身貴族を貫いているものがいます。

収入差がついちゃったな

ゲスい話ですが、出世や収入のお話は社会人にとってなかなかの娯楽です。核心や具体額は出さないようにしつつ、それとなく雰囲気を掴んでいきいます。

それで、この度の同期間ではどんな感じだったのかいうと、みんな結構もらってるんだなーという印象でした。(最下位並みの感想)一番貰っている人だと、たぶん僕の3倍くらい。同じようなレベルの会社に就職したと思っていましたが、30も過ぎると結構差が出るものですね。

この圧倒的な差がどこからくるかというと、海外駐在による手当が大きいようです。社内での高い競争を勝ち抜いた結果の収入ということで、社会人としては夢のある話でもあるかなーと思います。

海外でのビジネスは今後も増えていくでしょうし、こういったチャンスはいろんな業界で増えていくかもしれませんね。(その結果、手当が減るかもしれませんが)

結婚しない人

そろそろ僕らの世代も第二次結婚ラッシュが終盤に差し掛かってきました。僕の周りはそれなりに順調に家庭を築いていますが、中には独身貴族を楽しんでいる人もいます。

彼がいうには「子供は欲しいし彼女と過ごすのも苦ではないが、自分の時間が欲しい」とのことです。自分の時間が欲しい、僕も強く思います。その点では、自由に過ごせる独身貴族が羨ましく思うこともあるのは事実です。

ただ、子供が欲しいというならやっぱり早めに結婚すべきではないかと思います。出産にはタイムリミットもありますし、子育てそのものも体力を使います。独身貴族の彼もそのことを理解しているものの、結婚に踏み切るきっかけが無いようです。

個人的には結婚するのにきっかけってあるのかな?と思います。付き合い始めるのにきっかけはあると思うんですが、結婚を決める時ってそんなにドラマチックなもの、そうそうないと思うんですよね。僕の場合は自分の中で期限を決めて交際してました。交際期間が長引くとズルズルいってしまうケースがあります。そうならない為にも、何らか指標を決めて、決めるときに決めないと、相手にとって悪いんじゃないのかなと思います。

変わらぬキャンパス

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卒業して7,8年くらい経ちますが、基本的にキャンパスに変わりはありませんでした。全然違う姿になっている大阪駅周辺とは大違いです。

平日だから学生が多いかなーと思ってましたが、人影はまばらでした。そういえばもう春休みの時期ですかね。

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大学訪問のメイン目的は学食です。後述します。

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かなりローカルなお話ですが、宙って綺麗なだけで核メニューがないんですよねー。

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構内じゃないですが、大学の最寄りにある憩食堂です。見た目が歴史を語っています、確か60年は続いてるんじゃなかったっけな。本日休業の札があるということはまだ営業は続いているみたいです。

数年ぶりに食べる天津マーボー丼

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今回の大学訪問のメイン目的はこいつです。この大学に通っていた人は誰もが食べてきた、図書館下食堂の名物料理です。天津飯とマーボー豆腐が合わさることで色々捗るんですが、何故だか学食以外では見かけたことがないんですよね、不思議です。何気に天津カレーという正気を疑うラインナップが追加されています。無視しておきましょう。

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「天津マーボーで!」

かつて数百回は繰り返した呪文をおばちゃんに唱えるとこいつが出てきます。米と卵、油と食塩の暴力。それをごまかすようにざっくり切られたキャベツが入っています。あのころから何も変わっていません。

食べ始めるとマーボーの辛さに驚きます。そういえば、ここのマーボーは辛めだったなと思い出しました。その辛さを卵と米で中和するのです。卵も米もなかなかのボリュームがあるはずなのですが、マーボーの辛さが、その量を忘れさせてくれます。「この量を食べられるのか?」と食べる前には思うものの、意外と軽く食べることができる。これこそが天津マーボーです。

隣接の学術博物館

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時間に余裕があったので、大学の近くにある学術博物館に行ってみました。在学中には何となく1回も行くことが無く、せっかくということで。入館は無料で、中にはカフェやショップなどがあります。人はほとんどいませんでした。中はカメラがNGだったので文章だけです。

展示されているのは「大学の著名な研究者」「コンピュータの黎明期」「光学・電子の顕微鏡」「大学の歴史」などなど。あまり期待せずに入ったのですが、展示物は技術的な知的好奇心が満たされるだけでなく、歴史と絡まってストーリー性のあるものが多く、面白いです。

個人的に一番面白かったのは「コンピュータの黎明期」です。第二次世界大戦後まもなく、真空管式のコンピュータの研究を行っていた旨の展示がしてあります。少ない資源と情報で手探りに研究を行うというのは、情報化時代を生きる今の僕にはなかなか想像がつかないものです。大変だったろうなと思う反面、昔は追い付く目標があって、やるべきことも明確だったのかなとも思います。今の日本はまだ追い付く方ではなく先頭を走る側です。新しいものを作る難しさという意味で、今は今でタフな時代でしょう。

終わりに

長くなってしまいました。それだけ色々な刺激を受けた1日だったといえます。

本来ならこういう記事は3つくらいに分けて、それぞれの内容を掘り下げるのがブロガーというものなんでしょうが、面倒なのでまとめちゃいました。まだまだブログ道を修めるには遠いです。

それでは。