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【書評】「弱者の戦略」にいまの自分を重ねて

弱者の戦略を読んだ。自然界で一見弱いとされる生物や植物が、どのような理由でいまを生き延びているかを紹介している本だ。

この本が目に留まったのは僕が2つの意味で弱者の立場に属しているからだ。1つは僕の所属する会社が業界内で弱者の立場であり、どのような生き残り方があるか悩んでいること。もう1つは僕自身が人材としては弱者の立場であり、まだまだ続く仕事人人生でどう生き残るのか悩んでいることだ。

著内で紹介された弱者の戦略とは、強者の土俵で戦わないことにある。

強者とはまともにぶつかり合うと強い者で、そういうものと快適で広いフィールドで戦っても弱者には勝ち目がない。弱者は狭く複雑で、変化に富み、最悪の環境をこそ選ぶべきだ。ニッチな分野でNo.1になり生き残る。これが弱者の戦略だ。

例として著内で紹介されていたセイヨウタンポポ vs ニホンタンポポの話が印象的だった。

都市部ではセイヨウタンポポはニホンタンポポを圧倒している。軽い種子を至る所に飛ばし、受粉せずに種子を実らせるセイヨウタンポポは強者だ。

しかし田舎になるとニホンタンポポの方がよく見かけられる。セイヨウタンポポは他の植物の陰に隠れて陽が当たらず枯れてしまう。一方でニホンタンポポは他の植物より早く花を咲かせ、他の植物が育つ夏には根を残して葉を枯らしやり過ごす。あえて時期をズラして競争が無いところで生き残っているわけだ。

これを自分の状況に当ててみると、お金が潤沢で人材豊富な巨人と正攻法でやりあうのは得策ではないし、メカニカルエンジニアというぼんやり広義を指すフィールドに留まっているのは悪手と言える。領域を絞り、ニッチに生きていくことが活路に繋がるのではないか。

実際にニッチ分野を突き詰めることで生き残っている企業はある。有名どころだとグローバルニッチトップを掲げるNittoとか、半導体を切る削る磨くに特化したディスコがそれにあたる。

何かと強者の情報が入りがちな昨今、強者のフォローをしたくなるところだが、自分が強者でないことに気付いているならNo.1になれるニッチを見つけることこそ本当にやるべきことなのだろうね。