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「人気ブロガーからあげ先生のとにかく楽しいAI自作教室」でAIの実用性を体感してみよう

ラズパイ記事など、テック系記事で日頃からお世話になっているからあげ (id:karaage)さんが書籍を執筆されました。

その名も「人気ブロガーからあげ先生のとにかく楽しいAI自作教室」!
書籍名のインパクトもさることながら、装丁も方もすごいです。もう派手派手です。

紙の方で購入して一通りコードを動かしつつ読み終わりましたので、感想をつらつら書いていきます。

想定読者

書籍の記載をお借りしますと、下記レベルの方を想定されているようです。

  • Linuxに関する基礎的なコマンドの知識がある
  • Pythonの基礎的な知識がある

こう書くと身構えてしまう人もかもしれないですね。実のところ、コードはコピー実行で問題ないので、コーディングできるほどの知識がなくても大丈夫です。実際、僕自身もコーディングは全然できません。(コピペで継ぎ接ぎしつつ動かせる程度)
ただ、コードを読める程度には知識があった方が、何やってるか理解しやすいかなと思います。

PCの環境もGoogle Colaboratoryを使用するため、デモにスペックは要求されません。カメラを使う箇所があるので、内蔵カメラがあるラップトップで行う方がいいかな、くらいですね。

AIの幅広い応用例を体感

「とにかく楽しい」と銘打たれた本書。
何をもって楽しいとするかは人によりけりなところがありますが、大勢の人にとっては基礎理論のお話よりも実用でどう使えるかの応用の方が興味惹かれるのではないでしょうか。

そんなわけで本書ではAI技術を用いた幅広い応用例を手を動かしながら体感できる構成となっています。具体的には、下記技術をカバーしています。

  • 画像認識 (CNN、Data Augmentation、Grad-CAM)
  • 自然言語処理 (WordCloud、 マルコフ連鎖、RNN、BERT)
  • 画像生成 (DCGAN、 StyleGAN)
  • 姿勢推定技術 (Pose Estimation)
  • エッジコンピューティング(TensorFlow Lite)

それぞれの技術について、小難しい理論のお話は最低限に抑えつつ、どういった手順でAIを動かしていけるかを学ぶことができます。気になる技術から試して行くのもいいかと思いますが、画像認識は書籍の構成通り最初にやっておくのがオススメです。AIを動かす上でのお作法が丁寧に説明されてますし、自分のカメラを使ってリアルタイムで画像認識のデモが動かせることに、インパクトと可能性を感じることができます。

Google Colaboratoryの便利さを実感

本書を通して1つ大きな収穫だったのがGoogle Colaboratoryです。
自分も一応名前は知っており触ったこともあったのですが、一定時間で接続が切れたり生成データが失われたりするからなぁ、とあまり注目してませんでした。

実際に使い始めてみると環境構築に時間を取られない気軽さはもちろん、PCスペックを気にせず好きな端末を使える(性能の劣る古いラップトップでも)、Google Driveと連携してのファイルのやりとりが出来たり、カメラを動かせたり、と痒いところに手が届きまくる便利なものでした。(恥ずかしながら、カメラ動かせるの知らなかったのでホント驚きました)

AIを楽しく学ぶ上で、Google Colaboratoryが結構な貢献を占めているかもしれません。

サポートサイトも完備

書籍に記載されたコードや参考文献・ページへのリンクが記載されたサポートサイトも用意されています。誤記・コードの修正内容もあるほか、質問を投げかけると回答いただけるようです。

github.com

僕も誤記というか、コードの記載間違いを見つけたのでGithubアカウント作ってドヤ顔で指摘するつもりでアクセスしたのですが、既にissueに投げられており、解決していました。からあげ先生の読者の皆さん、さすがの行動の早さですね。

まとめ

「人気ブロガーからあげ先生のとにかく楽しいAI自作教室」の紹介をしました。
初心者のつまずきポイントを乗り越えつつ実践で学ぶことを目標に書かれているだけあり、興味の芽生えを手助けする内容に富んだ本だと感じました。時折挟まれる奥様とのコラムも含め、全体的にお堅い感じがなく気軽に読み進められます。

AI関連書籍としては以前「ゼロから作るDeep Learning」を読んでまして、この本ではDeep learningの基礎となるNeural network、のさらに期限となるPerceptronの理論から学んで行くような内容でした。AIと呼ばれるものの背景に存在する技術を広く知れて勉強になる一方で、これがどう自分の身の回りに応用できるか分からんな、と学びが続かなかったんですよね。

画像や文章など具体的なアウトプットを伴う実践は、応用についての視野を広げてくれます。こういうこともできるんじゃないか。そのためにはどうすればいいのか?調べよう。勉強しよう。そうして行くうちにスキルがついていき、いわゆる第2、第3のディープラーニングおじさんが誕生するかもしれませんね。

最後に自分語りをしますと、本書を読んでから、途中で止めていた「Pythonではじめる Kaggleスタートブック」を再開しました。心境の変化というやつです。