WICの中から

機構設計者が株式投資や育児に奮闘するblog

激務企業は採用時にソルジャーを選別するべき

不夜城

<まとめ>

・競争社会である以上、激務・ストレスフルな企業は無くならない

・いくら企業研究しようとも企業の実態はつかめない

・採用時に「優秀かどうか」ではなく「体力・精神的に自社の労働に耐えられるか」をまずは見極めてほしい

 高学歴・好待遇でも他人事じゃない過労死問題

電通の新入社員が昨年12月に自殺した件が労災と認定され、ネット上では電通(広告代理店)の体質への批判や残業時間自慢など色々な方面に議論が発散している。

この問題がこれまでの過労死問題と一線を画しているところは、社員が高学歴である点と勤務先が高年収とステータス抜群の電通だという点だろう。これまで話題になってきたブラック企業の過労死はプログラマとか飲食店とか、待遇が悪く高学歴者があまりいないような環境が多かったからね。僕自身にとってもこの問題はショッキングだった。電通など広告代理店やコンサル、外資金融、あとキーエンスなんかは激務だという話はよく聞いていたけれど、そういうところで働く人は基本的に能力が高いのでストレスや疲労をうまくコントロールしていたり、耐えきれないようなら早めに自分から出ていくという行動が切れるものかと思っていた。

激務好待遇企業はなくならない

厄介なことに激務高給の企業には絶えることのない需要が存在する。社会に出て気が付いたことだが、世間には不休かつ高ストレス環境下でもパフォーマンスを落とすことなくエネルギッシュに働き続けることができる人間が存在する。そんなスーパー社会人で、なおかつお金や地位も欲しいという人にとって前述の激務高給企業は理想的な職場だろう。

テクノロジーの進化も企業に休むことを許さないだろう。残業時間のの規制も業務のお持ち帰りの前では意味をなさない。メールや電話は時・場所かまわず僕達と業務を結びつけ、資料作成やプログラミングも今のラップトップの性能なら苦もなくこなせるだろう。ハイエンドCADを動かすのにはまだ個人用PCでは難しいことは僕にとって救いだが、それすらリモートで職場のワークステーションを動かしてやれば問題ない。世界を飛び回る職種であるなら労働時間なんてあってないようなものだ。

今後も好待遇を引き換えに尋常ならざる労働量を求められる企業は存続するだろう。そんな中で今回のような悲劇を避けるためには、特殊な労働環境でも生き延びることができる労働ソルジャーのみがキチンと激務企業とマッチングしなければならないかと思う。

採用側がソルジャーを選別すべき

就職・転職サイトが活発になってきて残業時間や会社の雰囲気など以前よりクリアになってはきている。しかしやはり口コミは転職者の意見が多くバイアスがかかりがちであるし、労働経験のない新卒では残業時間で生活が削られることや、上から詰められることで生じるストレスなどは実感できないかと思う。つまるところ、どんだけ企業研究を行おうと蓋を開けてみるまで分からないものだ。

そんなわけで採用を選択する立場にある各企業の人事部が人を見る目を養い、自社の労働に耐えうる屈強な体力と、曲がっても折れないフレキシブルな精神を併せ持つソルジャーを選別していくべきだ。激務企業でのマッチングミスは人離れによる採用コスト以上のものを失うことになりかねない、というのは今回の問題を見ても明らかだ。

体力や精神力は20歳を超えて爆発的に鍛え上げられるものではない、先天的な才能ともいえる。十分な能力を持ちながらも体力や精神力で落とされるとなっては新卒側もたまったものではないかもしれないが、僕は能力ある若者が意味があるのか分からない激務や無為なストレス、無理な飲酒などで倒れることほどの悲劇はないと思う。

採用する側におかれては、きちんと自社の労働に耐えられるかどうかという点でまずはラインを引いてほしい。それで人材が不足するようなら、その時はおとなしく労働環境を改善するか、より待遇を高くしてクラス1stのソルジャー候補を呼び込めばいい。