ちょっと前にセルカレンズを買いました。2in1で、マクロと広角どちらも使えるものです。
スマホに付けて時折遊んでいるのですが、これをRaspberry Piにつけてやるとラズパイカメラの利便性上がるかな、なんて思いついたので早速モデリングにチャレンジしてみました。
フィルターネジの規格寸法
モデリングするためにまずは必要寸法の洗い出しです。
セルカレンズにはネジが切られていて、これにバッチリかみ合うねじ径・ねじ山をモデリングしなければ、レンズはとりつきません。
で、カメラのレンズやそこに取り付けるフィルターに切られているねじ山、いわゆるフィルターねじはJIS B 7111 : 1997に規格があります。詳細はJIS検索で探してもらうかネジゲージ.comを見てください。欲しい情報は呼び径とピッチです。
ざっと見た感じ、呼び径37.5、 ピッチ0.5というのが、自分の持っているセルカレンズのねじ山に近そうです。
実寸法測定
以上の規格を念頭に置いて、実物の寸法を測定します。といってもピッチは断面観察しないとわからないので、おねじ外形とめねじ内径を測定するのみです。
うーん、どうも呼び径は37.5ではなさそう…公差を考えると、たぶん呼び径は37ですね。カメラ用品というよりスマホアクセサリーなので、カメラ関係の規格には合わせてないんでしょうね。このままではピッチが分からずモヤモヤします。
ねじピッチを推測しよう
ねじ山の形状はJIS B 0205(一般用メートルねじ)に準拠してくれていると信じて、ねじ山のスケッチを描きます。
ねじ山はピッチと呼び径で決まります。呼び径とピッチからめねじ内径を導き出せるわけですが、逆にピッチを適当に振ってめねじ内径を実測に近づけることで、ある程度ピッチのあたりを付けることが出来ます。ネジピッチ0.5でめねじ内径φ36.458、このくらいがいいとこですね。
3Dプリンタの造形品にレンズを取り付けるとするなら、大体の寸法があっていればレンズのねじ山で相手を削りながら装着できるので、このくらいの精度でもなんとかなるんじゃないでしょうか。
コイル機能を使ってモデリング
めざす形状が分かったのでモデリングです。
めねじ内径の穴をあけた円筒を作ります。
コマンドでコイルを選択。
Fusion360は予め用意された断面でしかコイルを作れないので、必要な直径は自分で計算してコイル形状を作り、元の円柱から引き算してください。
スケッチで断面描けると楽なんですけどねー。ヘリカルスイープとか、他のCADだとあるんですが。。。
断面切って、自分が描いたねじ山形状と合わせてみて、思い描いたとおりになっていることを確認しました。これでレンズが取り付けられる…はず。
まとめ
おい、3Dプリンタで出力して実際に確認するフェーズが無いぞ!と言われそうですが、今回はここでおしまいです。
何故3Dプリンタ出力しないのか、それは僕がプリンタをもっておらず、出力するタイミングが限られるからです。モデルもねじ山以外できてないので、ラズパイカメラが取りつかないのもありますね。
ねじ山、設計する時は下穴だけあけておいて、実際のねじ切り指示は図面ですることが多いです。だからねじ山の寸法とか、モデリングとかはあまり実業務ではやらないのですが、知っておくに越したことはないですね。3Dプリンタで作るときは実際に3Dデータの形状が必要ですし。
ちまたにはいろんなねじがあふれています。モデリングする際には、基本的にJISを見ながらやればいいと思います。なんだかんだで、お国の規格は偉大です。共通で使えるものが多いし、なにより設計信頼性が高いです。
今回のねじはちゃんとしたフィルターネジじゃなかったですが、フィルターネジを自分でモデリングできれば、ステップアップリングを好きに設計できますね。ケラレの可能性はありますが、1つのフィルタをいろんなレンズで使い倒せる可能性があります。やってみると、以外に実用的かもしれませんね。
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