WICの中から

機構設計者が株式投資や育児に奮闘するblog

メカエンジニアのキャリアの限界、もしくは閉塞感について

仕事には波があり忙しい日々を過ごしていても、ふと手を休められる節となるタイミングが巡ってくるものだ。

そうした時に頭をよぎるのがキャリアのこと。今後の身の振り方である。

いまの自分は手を動かす役割の中では上の方で、受け持っている業務内容も部署の中では最もスキルと経験が必要となる。そういう仕事を任せてもらえているのはうれしい反面、この業務を終えてしまうと技術面での目標が無くなってしまう。

もちろん、同じ業務をよりよくこなせるようにするという目標を掲げることもできる。が、特定業務の熟練度を上げるよりも、新しいスキル・経験に枝葉を伸ばしていきたいのが本音なのだ。

身近にいる自分より上の代を見てみると、モデルケースは2通りある。

1つはマネジメントルート。手を動かす立場を離れ、効率的な組織を作り人をうまく使う、必要な情報を集め重要な決断を行うお仕事だ。正直なところ、業務内容に興味を感じていないのと労働時間がドエライことになる気しかしない。

もう1つは専門家ルート。製品作りの最前線から退き、知識を特定分野に深化して部内全体の知見を底上げする存在。こちらも製品作りから遠ざかる点で、あまり魅力を感じない。

つまるところ僕はやっぱり製品を作る存在でいたいし、それでいて新しいことをしていきたいのだ。その観点でいうと、同じ部署に居続けるのは無理が生じるのではないか。

そうなると業界を変えないままメカ屋の自分を捨て去り電気や各種モジュールなど別分野に移るか、メカ屋のまま他の業界に行くか、になる。

前者は結構興味がある。機会があるならやってみたい。が、30も半ばを過ぎた身で分野チェンジには不安が付きまとう。30半ばとなれば、募集しているところも即戦力、それもベテランのスキルを希望されるものだと思う。30過ぎての分野変えの例は耳にしたことはあるが、やはり相当の覚悟は必要になるようで。自分に覚悟があるかと問われるとたじろいでしまうのも正直なところだ。

となると、やはりメカ屋のままで他に移るのが現実的なのかと落ち着いてしまう。

昔読んだLIFE SHIFTには人間が100年生きる世界では誰しもが複数のキャリアを渡っていく未来が語られていた。そういう複数の軸を持つ人が強いのは今の社会でもそうなのだけど、30半ばになってから別の軸を作ろうと思い立ったとしても難しさに絶望してしまう。仕事量は増え、家事育児の負担も大きい。そんな中でエネルギーを持続させられるほどの強烈なパッションは自分には無いんだな、これが。

こんな感じで自分は自分でキャリアに悩む一方で、嫁さんや同世代の同僚たちも同じように悩んでいるので、30半ばってそういう時期なんだろうな。目の前にあるレールをひた走ってきた先に、仕事人としての最後の分かれ道が見えてくるというか。

目標無く日々を過ごすのは辛い、しかし目標を立てるだけの意志力やパッションが欠けている。かつては閉塞感から湧き出ていたパッションが、いまは湧かない。なんだかんだ言っても今の生活に充実してしまっている証拠だろうか。

After メカ屋、どういうルートが存在するのか、いろいろな人と語らいたい休日の夜。