WICの中から

機構設計者が株式投資や育児に奮闘するblog

CAEで未知な問題は発見できない、見たいものしか見れないから

※この記事で言うCAEは主に構造解析を指してます

CAEツールの発展、計算機の性能向上。そんな技術の進化に押されて「物を作らないモノづくり!」が叫ばれるようになったのはいつからでしょう?

開発工程におけるモノを作る工程、モノを評価する工程、モノで対策する工程。明らかに昔よりは減ったよなーと感じます。

ただ事前にどれだけCAEで評価していようといざモノを作る段になると問題は起こるわけでして、「いやぁシミュレーションでは問題出てなかったんですけどねぇ」と言い訳しながら釈明と時間稼ぎと対策検討を並列で行うのも、最近の流行りだったりします。いや、普通はしないのかな。

で、表題の件ですよ。事前にリスクをCAEで抽出出来るのか。どう思います?

自分は不可能ではないものの難しいと思ってます。

解析する人は予想される弱点・メジャーな問題への実力がどうかという視点で動きます。つまり見たいところだけ細かく条件設定する。見たいことろだけ集中してみる。そうなりがちです。

結果として実際の物だと起こるだろう問題が再現されない、再現されていたとしても気づかない。これが往々にして起こるわけですよ。

これについて解析担当者を責めるのはお門違いです。完全に再現することもコンターだけで不良モードを見つけるのも人間業ではありません。
例えば基板。数多のチップが載っていますが、そのチップ1つ1つを真面目に載せますか?載せるだけじゃだめですよね、実装部品は半田に載っているわけだから半田のモデルも作らなきゃ。そういえばFPCにも基板にもパターンが走っている!パターンが断線するから問題が起きるわけで、完全に再現しなきゃ...と。そんなことはできやしないんですよね、労働時間は有限ですから。

とにかく、CAEは見えている問題の対処に使うには優れているものの、未知の問題を見つけるには2022年現在ではまだまだで、設計品質を良くするには早期での現物を用いたコンセプト確認が必要だと思った次第です。

そしてここまで書いて気が付いたのですが、CAEは万能じゃないよシリーズの記事をまた書いてしまいました。3年前と主張してる事が変わらない…成長が、感じられない…。

設計者はCAEで解析する前に現物を見つめよう - WICの中から

設計者CAEは銀の弾丸ではない - WICの中から