WICの中から

機構設計者が株式投資や育児に奮闘するblog

Escape R3からPAS Babby unへの機体乗り換え

ムスコが保育園に入り、あっという間に慣らし保育を終えて、本格的に保育園生活が始まった。

それに伴って僕自身の環境も大きく変わった。朝起きる時間は30分早くなったし、家事タスクもずいぶん増えた。何より、僕の足たる自転車の乗り換えだ。ムスコを保育園に連れていくため、僕の搭乗機はクロスバイク「Giant Escape R3」から電動アシスト自転車「PAS Babby un」へと変化した。

機体乗り換えと聞くと何を想像するだろう?ロボットアニメやスパロボにおけるそれは、主人公のパワーアップイベントともいうべきもので、若き日の僕は機体乗り換えからの無双展開に心躍らせたものだった。アムロがリガズィからνガンダムに乗り換えるイベントとか、古いスパロボファンならみんな好きでしょ?

翻って此度の僕の機体乗り換えはどうだ。確かにパワーアップした機能はある、安全性だ。強固なフレームは衝突での安全率を上げ、低い重心は転倒時の踏ん張りを容易にした。それらによる運転性の悪化は電動アシストによりカバーされている。人の生活を助ける、素晴らしいテクノロジーの産物だよ。

しかし同時に失ったものもある。PAS Babbyになってから僕はペダルを全力で踏めなくなった。スピードは失われ、重量が3倍になることで小回りも利かなくなった。自身の力を効率よく推進力に変換する原始的にして完成されたシンプルな機構は、エレクトロニクスの介入によって複雑さを増した。

子育てが次の段階に移るたび、自分の力の配分が仕事や趣味から離れていく。もはや仕事と趣味に全力を傾けられた、幸福な時代は失われて久しい。仕事は同僚・上司と助け合い、家事は嫁さんと助け合うことで成り立っている。

「自身の全力で前に進んでいた自分」から「周りのアシストを経て分散した力で前に進む自分」への転換。Escape R3からPAS Babby unへの乗り換えは、そういった境遇の変化を象徴するようだなと、ふと思った。