WICの中から

機構設計者が株式投資や育児に奮闘するblog

この問題に答えはないかもしれない

サイズを増やしてでも新機能を入れたい企画部門と、小型化(前機種のサイズキープ)を是とする上長たちがやりあった結果、次の機種の開発方針はサイズをキープしたまま新機能を入れることになった。この矛盾を押し付けられるのはもちろん設計である、なんだこれ!

機能を増やすために必要な寸法は確かな根拠を持って伝えた筈なのに、なぜこのような事態になるのか…。そこには「数ヶ月あればなんとかなる」「設計的工夫で乗り切れる」という曖昧な楽観主義が見え隠れしてならない。どんなに高い壁でも乗り越えられると無邪気に信じているのか。

高い壁はしばしば乗り越えることが不可能な壁である。ただ挑んでいる最中には乗り越えられないものと分からず、チャレンジャーは「もう少し!もう少し!」と奮起して戦いを続けることになる。虚しい戦いの最後は、開発の場合、スケジュールの存在により終結する。

こと何かを作る時、スタートアップだろうと普通の企業だろうと何かしら困難を解決するために奮闘している事だろう。クリエイターたるものはみんな、高い壁と越えられない壁の狭間で苦しむものだ。普通の企業務めのエンジニアが辛いのは、ギブアップ宣言の権利を現場が持っていないところにある。乗り越えられないと悟ったところで、自分の意思では降りられない。

サイズを変えずに機能を盛るなら、僕達がした検討はなんだったんだろう?開発チームは今のサイズに解は無いと判断した。あるいは、本当は解があって上からの強烈なプレッシャーに晒されることで、何かが生まれてくるのか。この件についてどう転ぶかはわからないが、現場がハードな対応を求められることは間違いない。

こんな状況で僕は異動となった。申し訳なさやプロジェクトの行く末の心配やら。複雑な心境である。