WICの中から

機構設計者が株式投資や育児に奮闘するblog

チケットショップが僕に社会を教えてくれた

株主優待が届くこの時期はチケットショップでバイトをしていた頃を思い出す。一般的に田舎と呼ばれる地域でバイトもせず純朴なまま大学生になった僕が初めてバイトをしたのがチケットショップだった。場所は大阪梅田、閉店まで行列が絶えない恐らく大阪で一番忙しいチケットショップだろう。なぜそこに初バイトを捧げたのかというと、単に時給が良かったからだ。諭吉センセは偉大だ。 

 

チケットショップは多種多様な商品を扱っていた。切符回数券のバラ売りだったり各種商品券、株主優待からナイターのチケットなどなど。それまで通貨でしか会計をしたことがなかった僕にとっては、まずここで衝撃だった。ひとつひとつの商品による節約率は決して高くないけれどお高い買い物や長期にわたる継続利用により大きな節約へと結びつく…根がケチな僕はチケットショップによるせせこましい節約術に魅力を覚え、働くだけでなく客としてもチケットショップに染まっていった。今ではSuicaの利便性に負けてバラ売り回数券を買うことはなくなったが、あれは普通の切符に対して割引率が高いのでお金が無い学生にはオススメだ。(何度も行き来する場所なら普通に回数券買った方がいいけど)新幹線や高速バスなども商品券に比べてお得感が高い。

 

客としての話はここらへんで打ち切ってバイトの話に戻ろう。チケットショップに来る客層はオジサン・オバサン世代が多めでお金に対する意識が高い人達が多かった。言い換えると余裕がなさそうな人が多かった。行列を割って入ってこようとし注意すると激昂してきたオジサン、商品券の買取を依頼するものの商品券の中にただの紙を紛れ込ませてくるオバサン、時折ガラスケースの下に落ちている小銭を狙ってホームレスらしき人が物差しを差し込んでくることもあった。純朴一辺倒で育ってきた僕にはなかなか刺激が強かった。

 

それに対するショップ側も人材は揃っており、社員のお姉様方は強面のオジサンだろうと厚顔のオバサンだろうと怯まず強気な接客を押し通していた。突撃してくるホームレスにも「邪魔になるんでやめてくださーい」と一括。強い(確信)僕はそんな彼女達の脇で細々とスルッとKANSAIを売ることしか出来なかった。*1

チケットショップ以外にも接客系のバイトは経験したが、チケットショップでの戦争のような時間を過ごすことは無かった。あんな濃密な経験を若い時分に積むことができた僕はきっと幸運だったんだろう。実は接客以上に内部のアレヤコレヤの方が濃密だったりしたけれど、これはアルコール無しでは書けない。とにかくチケットショップのバイトは僕に大人の世界、社会の一端というものを鮮明に教えてくれた。

 

そんなチケットショップ、今でも株主優待の売却先としておおいに活用させていただいている。優待や友の会カードなど使用先が限られるものは換金率があまり良く無いが、それでも腐らせておくよりはマシだ。これからも株式投資を続ける限りお世話になることだろう。チケットショップを利用したことが無い人は一度覗いてみてほしい。意外な商品、地味にお得な代物などが見つかるかもしれない。

*1:関西の私鉄やバスで使える共通プリペイドカード。まもなく終了するらしい。。。