WICの中から

機構設計者が株式投資や育児に奮闘するblog

知れば誰もが悩むだろう、出生前診断と命の選択

日経に新出生前診断を受ける人が増えており、最終的に確定診断で陽性と診断されたうちの9割が人口中絶に至ったとの記事を見かけた。
 
技術の進歩で比較的簡易に子供の障害について調べられるようになったが、障害を持つとされた命の9割がなくなってしまったこと、皆さんはどう感じるだろうか。僕は中絶率については特別高いとは感じなかった、もし陽性と診断されて何もしないのであればもともと診断を受けていないだろう。羊水検査はそれ自体にもリスクがあり妊婦の負担も大きい検査方法なのでなおさらだ。陽性時に中絶判断を下せないのであれば知っても辛くなるだけなので検査を受けない方がいい。悲しいが現状では診断から続く選択肢は中絶か受け入れるかのみで、治療というもっとも必要とされる選択は存在しない。
 
嫁さんの妊娠中にぼくら夫婦も診断に関して話し合ったこともある。 健常な夫婦であっても劣性遺伝が運悪く顕在したりダウン症のような染色体異常、出産時のトラブルなど、日々の生活ぶりや妊娠年齢によって確率はまちまちだけど数%は障害を持って子が産まれるのだと嫁さんから聞いた。100人生まれたらその中に何人か、と考えると決して少ない数ではない。僕の子供ももしかしたら、と幾度となく考えた。僕の思考がネガティブだからなのかもしれない。だけど診断はしなかった。僕達に中絶という選択はできそうにないというのがその理由だ。
 
嫁さんの妊娠中、障害を抱えてしまった人や、障害児の親だという人達のブログをやく拝見したものだ。彼らの生活は一般のものと比べるとやはりハードで、しかしそれでも明るさや楽しさを捨てずに生きていて、その様子に元気づけられたりもした。中絶をする人には生まれてくる子が可哀想だという意見の人もいるだろうが、本人が幸せかどうかなんて結局のところ本人にしか分からないんだろうな。
 
だからといって僕は中絶を否定する気は無い。障害を持った子供を育てるのは時間や金銭の面で明らかに負担が増える。もともとそういった点に不安を持っている人達にとってはやはり手軽で確度の高い出生前診断というのは必要かもしれない。願わくば診断の技術だけでなく治療の技術も進歩して、誰もが安心して子供を作れる世が来ればいいなと思う。