WICの中から

機構設計者が株式投資や育児に奮闘するblog

今週のポートフォリオとインテルとイノベーションのジレンマ

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今週も日経平均は元気、ようやく僕のオムロンも損失10%を切ってくれた。PERは16倍を超えてちょっと高い水準になってきたか。サンマルクも微改善、こちらもPERは15倍弱とジリジリ上がってきた。それでもまだ両方ともマイナス圏なんだから、高い値段で買い過ぎだね。相場を見ていると自分の思っている価格でなくても買いたくなるけど、それはやっぱり良くないなと。

 

 

さて、決算シーズンが到来だ。来週4/27はオムロンの決算発表がある。僕は来期の業績にそこまで期待していないけれど、注目なのは言わずもがな。気になっている企業の決算発表も4/27にあるので、中々ワクワクする日になりそうだ。サンマルクは5/12発表、こちらはGW明けで、もうちょっと先だね。日本経済の先行きは怪しいけれど現状大きく崩れる様子が無いし、こちらはサプライズ無く安定した来期予想になるのかなという気がしている。

 

一足先に決算シーズン入りした米国は金融セクターが意外と頑張っていたり、*1アルファベットやマイクロソフトが期待はずれだったり、強弱織り交ぜた形になっているようだ。だけど全体として米国経済はやっぱり強いな、という印象を受ける。人をすぐ切れるって文化はこういう時にキくね。

 

その決算の中で一つ気になったのがインテル。

www.bloomberg.co.jp

ノートPCの需要が落ち、それに伴う業績の低迷が鮮明になってきている。ノートPCの需要減の影響はもちろんスマホの登場のおかげで、インテルの衰退はモバイル向けのプロセッサに移行できなかったのが主要因だろう。スマホの盛り上がりは誰がみても明らかだったし、インテルくらいの大企業ならそちらでもやっていける技術力はあったと思うんだけど、何をやっていたんだろうか。こうした時に思い出すのが、イノベーションのジレンマだ。

 

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

 

 

この本ではなぜ優良な企業が破壊的なイノベーションにより衰退していくのかを、競争の激しい業界での技術や企業の動向を元に考察している。その中にディスクドライブ業界の話もあった。ディスクドライブとはハードディスクなどのディスク型記憶媒体で、コンピュータの市場がメインフレームからデスクトップ、ノートPCへと移り変わっていく中で主要なディスクドライブの企業がより小さいサイズのディスクドライブに移行することができずに消えていった…という話だ。この時、ディスクドライブの企業は技術が無かったわけでも、小型サイズのドライブに興味が無かったわけでもない。彼らの主要な顧客により小さい、そして容量の落ちるドライブに関する需要が無かったのだ。彼らの顧客は従来スペックの向上…容量の増加を望み、企業もそれに応え続けた。その結果、小型ドライブが作り出した新しい市場に参入する機会を失い、また持続的なイノベーション(改良)により小型ドライブも十分な容量を持つようになったとき、彼らの顧客すら奪われる形となったのだ。

 

プロセッサ業界でも同じことが起きているように見える。教科書通り、そのまま教材に使えそうなことがね。この調子で行くとそのうちノートPCの市場も失ってしまうかもしれない。モバイル用のプロセッサは現状でも一般的なユーズに対しては充分なスペックを持っており、これをノートPCに転用できれば薄型・省電力を加速することが出来る。

 

前出の記事によるとインテルはデータセンター機器などの分野に注力していくそうだ。これらは個人ユーズのコンピューターより処理能力を要するもので、そちらへのステップアップはそれはそれでイノベーションのジレンマだろう。

 

僕はハイテク株への投資はあまり好きではない。それはバフェット本の影響もあるが、何より移り変わりが激しすぎ、そういう業界に身を置く僕でも全然先行きが分からないからだ。「インテル入ってる」PCプロセッサ戦争において一時代を築きAMDにトドメを指したフレーズだが、この業界ではブランドは役に立たなくなってきている。ハイテク業界の顧客・ユーザーは合理的だ。彼らの心をつかむにはUI含むデザインや基本性能、品質に価格など、すべてを含んだ「スペック」こそが正義なんだから。

*1:リストラによるコストカットのお蔭みたいだけど