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日本の奨学金制度ってそんなに悪い制度かね

奨学金制度に追いつめらている若者、良く聞くフレーズだけど僕は日本の奨学金制度がそんなに悪いものだとは思わない。

shiromatakumi.hatenablog.com

記事の要約

・家庭の経済状況から奨学金が必要になる人がいる

・大学にかかる費用は大きい(国立:約1000万円 私立:約1200万)

・社会人スタート時点で差ができ不公平

・他国と比較して日本の奨学金制度は個人負担が大きい

・所得格差から教育格差につながる、教育の間口を広げよう

 

僕の奨学金利用状況

奨学金に対する見方は本人の環境に依存するところが大きいと思うので、僕自身のことも書いておく。僕は日本の中でも割と恵まれた家庭で育ったと思ってて、大学卒業までは学費・仕送りを親に頼っていた。大学院進学については渋い顔をされたけど、学費は出してもらい、生活費のみ奨学金に頼った。修了時点で約200万を借用、うち半額は免除となったので、約100万円を地道に返している途中だ。

人は平等ではない

人は生まれながらにして平等じゃない。これは「しょうがない」で済ませていい問題ではないし、所得格差は近年広がっている状況の中で解消に注力していかないといけないところではあるけど、数年来にこれらが解消するなんてことはないだろう。人は所得以外にも顔や体質、体格に性別などで将来の選択に幅ができている。僕の顔ではジャニーズに入ってアイドルやることはできないし(両親には申し訳ないが)、体格も平凡なのでプロスポーツ選手になることはできない。頭の良い、悪いも生まれつきで差があるだろう。その中で、勉強というのは才能に差はあれど努力すれば伸びるものであり、また義務教育や図書館など低コストで努力できる環境が揃っている。公立一本で大学にも行けるし、教育という点で見れば日本は割と平等な環境だと思うよ。

大学は高い?

大学4年間の費用、公立で自宅外の試算は1000万とのこと。これは高いのかね。

president.jp

上記の記事によると、単純に企業規模計の数値で確認すると、高卒と大卒で6000万程度の差分がある。大学にかかる費用が1000万以上でも、十分に元が取れる。だからこそみんな大学進学を目指しているんじゃないか。月々の返済が厳しかろうが、長い目で見れば大卒の方が収入期待値が高いんだし、奨学金を借りることで大学に進学できたというのは本来ありがたいことなんじゃなかろうか。社会人スタート時に数百万の返済があるかどうかという点は大きいように見えるけど、人生を左右するほどの額ではない。独身社会人で月々1-2万程度の返済に窮するようなら、そもそも仕事か生活様式の見直しが必要でしょ。

給付型にした時のお金はどこから?

他の国が奨学金を給付型にしたり、学費をタダ同然にしたりしているのはそれなりに犠牲になっているところがあるということ。消費税が高かったり、治安やインフラに向けたお金が低かったり、日本は高すぎると思うけど社会保険を削っていたりね。給付に必要なお金は税金として国民に返ってくる。大学に出ていない人にも。これはこれで平等か?という話だ。教育支出に関しては奨学金の給付に割り当てるより、各大学の研究費に割り当てる方がいいと僕は思っている。下記の通り、研究費の分配は東京大学とかいう鼻持ちならない大学が大半を占めているが、地方の国公立の大学への研究費を増やして地方大学のレベルを底上げしてやれば、わざわざいい大学に行くために自宅を離れる選択をしなくて済む分、いいと思うんだけど。

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機会を与えてもらうもの

奨学金ってのは本来なら大学に行くことが難しい家庭にも進学の機会を与えてくれる、ありがたいものだと僕は考えている。格差が減ったり、給付になったりすれば確かにいいかもしれないけれど、現状の制度が悪いものだとは、やはり思えない。誰にでもバスバス貸しちゃう点は改めた方がいいけど、借りる方も借りる方だと思うよ。支出が減るように実家がある県の国立に行けるよう努力し、返済が苦にならない職につくために、これまた努力する必要があったんじゃないかと。それに大学への進学というのはマストじゃない。高卒で働いている人も多くいる。返済リスクを恐れるなら、奨学金を借りずに働くという道もあったはずだ。高校まで出ていれば、自分の人生に対する判断とその責任は負わないとダメだろう。返済に苦しむ人たちは、不満の声をあげても現状が変わるわけじゃないんだし、収入をあげるなり支出を絞るなりする方にエネルギーを使った方がいいと思うよ。