国産PCブランドが次々売り払われています。
かつて日本のコンピューターメーカーでトップシェアを誇り、日本のコンピューター開発を先導してきた富士通PC部門(現在のFCCL)はレノボに売却されました。DynaBookでノートPCという新たな市場を生み出した名門・東芝はPC事業をASUSに売却する交渉に入ったといわれています。(こちらは否定コメント出ていますが)
そんな中でパナソニックのPC部門は頑張っています。
個人のPC消費は冷えても法人は元気よね
個人端末の座はスマホに置き換わって久しいものの、ビジネス現場ではPCはかかせません。
下記はパナソニック2017年2Qから、PC関連セグメントの業績を抜粋したものです。
(引用元:https://www.panasonic.com/jp/corporate/ir/release.html#2017)
PCはモバイルソリューションズですね。グラフから見るに、売上で100億以上は増収貢献してるんじゃないでしょうか。コメントにあるように買収分の上乗せがあるので素直に評価するのは難しいですが、既存ビジネスも順調に推移しているようです。
パナソニックの法人ビジネスの強みはどこにあるんでしょうか。
汎用品では対応できない領域を攻める
パナソニックの法人PCの凄いところは「物流」「製造」「土木」といった極端な環境の業界を狙ったところです。
個人向けのLet's note、法人向けのタフパッド・タフブック。これらに共通して思い浮かぶ特徴は何でしょう?おそらく「頑丈さ」ではないでしょうか。
ビジネスの世界では道具は壊れないことが最大の優先事項です。それは例え過酷な環境、それこそ「物流」「製造」「土木」のような業界でも変わりません。
法人PCの市場は大半がオフィス使用のものです。人にもマシンにも優しい環境が整っている法人PCの主戦場、もといオフィスではLenovo、DellやHPといった法人PCの巨人たちが殴り合いをしています。
パナソニックは一番数量がとれるオフィス向けから離れました。代わりに、数量は絞られる上、過酷な環境に合わせてカスタマイズした設計が必要になる業界をあえて選び、その中で成り立つビジネスを作り上げたのです。
「頑丈さ」のイメージに向けて営業もデザインも特化
パナソニックはイメージ戦略もうまいですよね。これはPC事業の各部門が単一の価値観である「頑丈さ」重視で統一できているからこそでしょうね。
・タフパッドという"あからさまな"ネーミング
・3mの落下に耐える"そこまでやるかという"耐衝撃設計
・"いかにも"強そうなリブをあえて外観に見せるマグネ筐体デザイン
プロモーションも設計もデザインも、笑いが出ちゃうほど極端なんです。けど、そのくらいやらないと確固たるイメージは築けないんでしょうね。
ブランドという名の経済的な堀
他社にまねできない強み、いわゆる経済的な堀を持つ企業は強いです。クリエータに支持されるMacしかり、世界で飲み続けられるコーラしかり、選ばれる理由がある商品は価格がどうあろうと容易に乗り換えられるもんではありません。
パナソニックのPC事業にも、その経済的な堀があるのではないでしょうか。例えメインストリームになくとも、ニッチなところで生き残りをはかる。それも1つの優れたビジネスの在り方なんでしょうね。
最後に、経済的な堀の話は下記の本で書かれています。読みやすく為になるので、個別株投資を考えている人は一読することをオススメします。