WICの中から

機構設計者が株式投資や育児に奮闘するblog

「意識を変える」は「何もしない」と同義

人間はミスをするものです。だからこそミスを事前に予測して、先回りの対策を打つことが重要なわけです。

製造業の世界ではフールプルーフという言葉があります。ポカヨケ、バカヨケとも。これらは「使用者が間違った使い方をしても危険が無い、そもそも間違った使い方が出来ないようにする」といった思想です。

例えばプレス機械、両手でボタンを押さないと起動しないようになっています。片手で操作していた時代に、誤って手を挟み込んでしまう事故が頻発していたことを受けて、未然の防止策として両手操作になったわけです。

人的なミスに対して、製造側でカバーする策があれば、ルールや環境により防止する策もあります。様々な策が考えられる中で、最も意味が無い策が「意識を変える」ものです。これは何もしないのと同義です。

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ちなみにプレス機械で事故ると指が無くなったりします。金属を切断する程度の剪断力がかかりますからね。

遅刻する人を例にとってみましょう

遅刻したことに対して「よし、明日から遅刻しないように気をつけよう!」と気合いを入れただけで、遅刻はおさまるでしょうか?

数日ならば効果はあるかもしれません。しかし、いずれ入れ替えた意識は元に戻り、遅刻癖も直らず…という未来が容易に想像できます。

対策には具体的な行動が必要です。
・目覚まし時計を買う(設備投資)
・会社の近くに引っ越す(環境の変化)
・就寝時間を早める(習慣の変化)

 などなど。

意識を理由に批判してはいけない

繰り返しになりますが、人間はミスをするものです。

そうした時にミスを批判する、特に意識にフューチャーして批判するのは悪手です。大切なのはミスを未然に防ぐ事で、そのために必要なのは意識改革では無く方法の改革です。具体的な行動や設備などに対策を落とし込まなければなりません。

僕は悪く無い、と言いたいわけじゃない

余談です。

このエントリを書こうと思ったきっかけは、嫁さんとのいざこざです。僕が朝食調理後にキッチンの片付けをしばしば忘れてしまう事に対し、設備面からの改善提案をしたところ「意識が低い」と批判されたことに起因します。

僕自身、謝罪が足りなかったのかなという反省はあります。ただ、設備面での対策は初期コストこそかかるものの、持続性のある対策であり、問題の根本解決が出来るものです。だからこそ、真面目に聞いて欲しかった。

設計をやっていると「人はミスをする」ということを痛感します。工場におけるネジの締め忘れ、テープ貼付け後の圧迫忘れ、コネクタの指し忘れ、ケーブルのルーティング忘れ…etc. こうしたミスに対するには「意識」というあやふやなものではダメなんです。

愚痴っぽくなっちゃいました。

何らかミスを避けようとするなら現実的な行動が必要だということ、未だ精神論がはびこるこの日本で主張し続けていきたいものです。