WICの中から

機構設計者が株式投資や育児に奮闘するblog

開発の佳境に会議が増えて疲弊する件

量産品は金型を用いることで安定的かつ大量に供給されてます。金型というものは一度作ってしまうと、形状の大幅な変更は効きません。そんな訳で、金型を作るためのデータをメーカーに渡すことは、開発イベントの大きな区切りと言えます。

 

金型用のデータを提出する直前、設計の詳細煮詰める時期になってくると、これまでの検討結果を評価する系の会議が増えてきます。一番設計に向かわないと行けない時期にも関わらず、会議対応に時間を割かれる日々…矛盾を感じます。苦しいものです。

 

開発佳境で会議が乱発される傾向は前職、現職ともに共通ですね。お国柄なのか、会社の規模(関係者の多さ)なのか、2社しか働いた事の無い僕にはなんとも判断できません。

 

前職と現職の会議のやり方はそれぞれ違っています。会議、僕は基本的に嫌いですが、会議内容や方式の違いに会社の色みたいなものが垣間見れるので、その点は面白くもあります。大枠でみると、以下のような違いがあります。

 ○前職の会議

・設計者不在で設計データを見て、懸念点をエクセルの指摘リストに積み上げていく
・設計者は指摘リストを自分の裁量で消化していく
・データ提出前に管理職集めて指摘リスト全て対策・対応していることを確認する
・最後の最後でトップがちゃぶ台ひっくり返す

○現職の会議

・設計者が作ったパワポ資料を元に懸念点を積み上げる、シミュレーションや現物評価結果を重視し、3Dデータはあまり見ない
・重点指摘は進捗管理され、ウィークリーで報告する
・データ提出前は懸念点全て払拭されていることをパワポ資料で説明する

 

 会議のやり方としては、前職の方が僕は好きです。理由は2つ。

「設計者が資料作りなど余計な工数を割かなくて良い」
「生の3Dデータを見るので設計者の意図しないミスが発見されやすい」

詰まる所、会議の体をしたDR(デザインレビュー)なんですよね。現職では3Dデータを積極的に確認する場が無く、設計者自身も資料を作っている時間が多くて3Dデータの露出が少ないので心配な点が多々あります。

ただし前職のやり方が万能かというと、そういうわけでもありません。設計者不在での指摘では設計意図や形状の必要性などが共有されないため、的外れな指摘がなされることがあります。また、レビュアー(設計確認する側)の立場だとすると、データを見るだけで組み立てを想像するのは難しく、レビューに時間もかかります。

その点、資料を中心とした会議では問題点のみ集中して会話ができます。無駄を省くという点ではこちらの方が優れているかもしれません。(ただし、一番工数が必要な設計者の工数を資料作りで食わせてしまうわけでもありますが)

会議により上位者の同意や意見を取り入れていくことは責任を上に引き継いでもらうための大切な儀式であり、それはそれで重要なお仕事だとも理解しています。

ただ会議多いと準備したり発表で精神使ったりで疲れるんですよね。設計的、製品性的に得るものがあるとも限りませんし。そんなわけで会議の種類減らすなり、参加人数減らして短時間で効率的に終わらせるなり、何らか改善はかられると良いなーと感じる、今日この頃。