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なぜ投資で億万長者を目指す人は絶えないのか?

先日ネットを徘徊していると「子持ちパパが、年を取る前に投資で億万長者を目指す」的なブログを見つけ、頭が痛くなりました。投資をする者として、また子を持つ親として、「投資で億万長者」「子持ち」この2点に思うところがあります。

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「投資で億万長者」の非現実性

投資は割合で増えていくものなので、元本と期間の長さが物を言います。元本が知れている一般人の投資戦略としては、安定した利回りの商品に長期間投資して、複利の恩恵を得るのが安定かつ王道かと思います。ただ王道は時間がかかりますし、安定した商品は利回りが知れています。若い内に億万長者になるのは、この手法では無理でしょう。

30歳で1000万円から45歳で億を目指す

例えば、30歳で1000万円の元本を持つ人が45歳で1億円を目指す場合を考えてみます。このケースだと年間16.5%以上の割合で増やしていく必要があります。

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(30歳・資産1000万から45歳・資産1億への道)

投資をしている人ならば年利16.5%がいかに高い利回りか、難易度の高いものか理解いただけるかと思います。

日経平均の直近10年で3回だけ

直近10年の日経平均を例にとりますと、前年比でこの利回りを上回ったのは3年だけです。投資商品の中でも、比較的ボラティリティ(価格変動)の高い、日本株式でもこの程度なのです。

ちなみに最強の投資家と呼ばれるウォーレン・バフェットの生涯利回りが20%程度と言われています。天才が米国市場という優れたマーケットで、成長期に投資をして、この数値です。はっきり言って、今を生きる一般人が15年間連続で年利16.5%の達成を目指すことは、無謀です。

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(直近10年の日経平均推移)

甘めに見ているモデルケース

またモデルケースの30歳・資産1000万も、甘めに見た数値です。実際に30歳でこれだけ投資に突っ込める人は、そう多くないでしょう。

下記は年齢別の金融資産保有額です。30歳代は平均で612万、中央値で410万円です。30歳より高い値がでるであろう、30歳代でも1000万円以上の資産を持つ層は1割程度です。元本が低くなると、必要とされる利回りはさらに高くなります。

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(平成28年:年齢別金融資産保有額/

引用元:各種分類別データ(平成28年) ― 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](平成19年以降) | 知るぽると)

また利回りの計算において、税金で持っていかれる額は考慮に入れていません。利益に対して20%が税金にとられることを考慮すると、利回りはバフェット氏を超える水準を維持しないといけなくなるかもしれませんね。

リスクを取って茨の道へ

 通常の手段では、投資で億万長者は望めません。ではどうするか?リスクを取るしかないです。

「ボラティリティ(価格変動)の高い商品への投資」

「レバレッジをかけての投資」

これらを行っていくことになります。

大きな利益を得られる金融商品は、大きな損失を吐き出すものでもあります。投資は元本が物を言い、これをき損してしまうと終了です。勝ち続けるか、1度まけて退場するか。リスクを取って億万長者を目指す道は、じゃんけん大会での優勝にかけることと同義です。あなたは勝ち続ける自信はありますか?僕は無いです。

ギャンブルに子供を巻き込んではいけない

正直なところ、大人がリスクとって自滅してもご自由に、というのが僕の意見です。大人は自分で金を稼げるし節約もできるしで、1人食べていくだけなら何とでもなります。

ただ子供はそうではありません。小さい内はお金を稼げず、自分でお金をコントロールする術も知識も持ちません。体も発展途上で、きちんと食べていく必要があります。過度な節約が、将来に響いてくるものです。

親の資産は、親が蓄えたものであっても、一部は子供のために使うべきものです。僕の投資は自分だけの資産で行っています。子供の資産・家族共有の資産とは別の、自分だけの資産です。しかし万が一の時、病気だったり進学だったりで必要になった場合は、この自分の資産から子供のために払い出すと心に決めています。それが親としての責任ではないでしょうか。その資産を握って億万長者へのギャンブルに全力で傾倒することは、僕にはできません。

億万長者でないと、できないことなの?

億万長者、なれたらいいですね。僕もなれるものなら、なってみたいです。しかし現実はオルフェンズの世界のように残酷です。ただ実のところ思うのですが、億万長者を願う人が実現したいことって、なんなんでしょうか。

仕事のストレスから解放された生活か?世界を旅して歩くことか?

このあたり、投資で億万長者にならなくてもできますよね。ストレスが少ない仕事を探したり、1~2週間くらいの休みを取って少しずつ世界を回ったり、他にも安定して皆が幸せなまま歩めるルートもあるかと思うんです。リスクの少ない副業を始めるのも、その1つです。

億万長者という響きはいいものです。しかし投資によってそれを成そうと躍起になっている人は、自分の本当に欲しているものを見つめなおして、そのために取るべき行動を考え直す必要があるんじゃないでしょうか。

 

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temcee.hatenablog.com

ギャンブルは余り金で、娯楽としてやるものです。娯楽としてのギャンブルは、僕も大好きです。