マックが裏メニューを始めるらしい。
記事を開く前のちょっとしたワクワク感は読み進める事に冷えていき、やがて怒りがこみ上げてきた。ケチをつけたいことは枚挙に暇がない。ただトッピングできるだけじゃねーかとか、サブウェイのパクリ何じゃないかとか、現場のオペレーションが乱れて混雑するんじゃねーかとか。だけどもっとも僕の琴線に触れたのは全然裏っぽくないこと。裏というからにはあまり表立って宣伝するもんじゃないだろう。知る人ぞ知るからこそ裏という文字がつくのではないか?
かつて僕が大学生だった頃、よく利用してた大学食堂には裏メニューが存在していた。食堂は、食券方式である。表のメニュー名は天津麻婆丼、天津飯と麻婆丼が超融合を果たすことで到達した中華のキワミであり、我が大学食堂のエースだった。
光あるところに影があり、表には裏がある。天津麻婆丼の食券を二つ折りにしてオバチャンに提出することで裏メニューを注文することが出来る。もしかしたら裏向け提出だったかも知れないが…僕が学生をやっていたのははるか昔のことなので記憶が曖昧だ、哀しい。
とにかく食券にひと工夫を加える、こういった通っぽい手続きがあるからこそ裏メニューはワクワクするのだ。オバチャンが「裏のほうかい?」と確認してくれるのもいい。
ちなみに天津麻婆丼の裏メニューは天津中華丼で、あまり美味しいものではない。当たり前だ、人気がないから表舞台に立てないのだ。だからこそプレミア感が重要であり、顧客が自由にカスタマイズできるような店側の粋な計らいのないモノなど、到底裏メニューなどと呼べない…
余談ではあるが、天津中華丼が裏メニューから表メニューになったと風の噂で聞いた。これを下仕事を地道にこなして出世したととるか、裏だからこそ輝いていたものがゴールデンでダメになるパターンととるかは人によりけりだろう。僕の感想を素直に言えば多少野菜が取れるだけで他はすべて天津麻婆丼の下位互換な存在が、唯一の個性を手放したなという感じだ。あー1ヶ月くらい大学生に戻りたい。